【花まるサマースクール2022】カトパン/加藤崇彰🌻カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル

【花まるサマースクール2022】カトパン/加藤崇彰🌻カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル

2022年度の花まるサマースクール、現場からのレポートをお届けします!
今回は、「カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル」のコースを引率した「カトパン」のレポートです。

 

🏝無人島サバイバル🏕


このたびは、大切なお子さまを無人島コースにお送りいただきまして誠にありがとうございました。3泊4日の無人島滞在は、2日目から3日目にかけて一時的な雨もありましたが、天気にも恵まれ、無事に全行程を終えることができました。

1日目
全員が同じ新幹線に乗り、集合場所の広島駅には子どもたちだけで集合しました。ホームで出迎えると、緊張からの解放で、ホッとする子どもたちの表情がありました。勇気を振り絞って一歩踏み出し、新しいことに挑戦した子どもたち。そんなみんなで拍手し合い讃え合いました。


移動中のバスでは、名前覚えゲームやインタビュータイムをとって仲を深め、これから行く無人島での過ごし方について確認しました。無人島の5つの掟や7つの鉄則、危険生物など。無人島は未知に包まれているからこそ、子どもたち一人ひとりの危機意識も必要です。気持ちを引き締めつつ楽しみ尽くすことを確認し合い、島を目指しました。

―無人島の5つの掟-

1. 「ない」ではなく「ある」を見るべし
電気、水道、ガス、スマートフォン。
普段の生活にあるものが、無人島には「ない」。
でも、君がそこにいる限り「考える力」だけはなくならない。
不便と感じたら、それはチャンス。
島に「ある」ものを駆使し、知恵を絞って生き延びよう。

2. 自由を手に入れるべし
「自由」と「やりたい放題」は、全く違う。
自分に由(よ)ると書いて、「自由」。
この島で、君は自由になれるだろうか。よく考え、自由を手に入れよう。

3. 仲間を頼り、頼られるべし
一人でできることもあれば、仲間としかできないこともある。
頼るだけでなく、頼られること。
頼られるだけでなく、頼ること。

4. 鉄則を守るべし
自由な島でも、決してやってはいけないことがある。
それが「鉄則」を破ることだ。
鉄則を破った者は…

5. 言葉に残すべし
島では毎日、日記を残す。誰かに見せる必要はない。
自分の中の本当の思いを書き記そう。自分の言葉で、自分が感じたままに。
その積み重ねが、自分の軸を作り、一生の宝になる。



―無人島の鉄則-

1. 船の上では船長が絶対
船に乗るときは、船長の指示を絶対に守ること。
つかまるべきところにつかまり、座るべきところに座る。
安全に船に乗れる者だけが、島へ渡れる。

2. 道具を雑に使ってはならない
道具を正しく扱うことが、サバイバルにつながる。
ロープも、ナイフも、釣り竿も、正しく扱わなければ、時に道具が壊れ、時に自分がケガをし、時に仲間にケガをさせる。
特に、ナイフを使う時は真剣に。

3. 危険エリアへ入ってはならない
危険エリアには、ビルほどの高さの崖や、石というより岩の落石、泳ぎなど役に立たない潮の流れなどがある。
このエリアにあるのは、ただの危険だ。勇気でも挑戦でもない。

4. 一人で行動をしてはならない
危険エリアでなくても、一人では山や海に行ってはいけない。
人知れず大ケガをしても、すぐに助けは来ない。
風呂とトイレは別だ。

5. 資源は有限であり、とりすぎてはならない
島で手に入る薪や食料は、とりすぎず残しておくこと。
この島は、「100年続く、世界の花まる子ども冒険島」だ。
100年後の子どもたちに、今と同じことができる島を渡せるように行動してほしい。

6. 勝手に食べてはならない
大人に確認せずに、島の生き物を食べたりとったりしてはいけない。
島でとれる食料には、毒があるものや、法律でとることが禁止されているものがある。

7. 体調の変化に鈍感でいてはならない
サバイバル中は、感覚を研ぎ澄まし、自分や仲間の体調変化にも敏感になること。
自分や仲間の体調不良を感じたら、無理をせず、すぐに言うこと。
街中での「まだ大丈夫」と、島での「まだ大丈夫」は、全然違う。


船で島に渡り、最初におこなったのはテント建ての作業です。一人では到底建てることのできないテント建ての作業に、子どもたちは声をかけ合いたくさんコミュニケーションを取っていたので、テントを建て終えるころには、子ども同士の距離がグッと近くなっていました。一つのことをみんなで成し遂げ、その達成感を共有し合うことで、より仲も深まっていくのだなと感じました。


寝床が完成し、次におこなったのは飯盒炊爨と海水ドラム缶風呂の準備です。ボタン一つで米が炊け、ボタン一つで温かい湯船に浸かることができる時代ですが、無人島ではそう簡単にはいきません。すべて一から自分たちでおこなわなければいけません。だからといってそれを嘆く子は一人もいませんでした。お米を水に浸け、海水ドラム缶風呂用の海水をバケツリレーで汲み上げ、火をおこして米を炊き、お風呂を沸かす。仕組みがとてもシンプルだからこそ、そのすべての行程にかかわることができます。そこには、一つひとつを楽しみ尽くす花まるっ子の姿がありました。


1日目の夕飯では、自分たちで炊いたお米と無人島カレーを食べました。無人島でのルールの一つに、「作ったものは残さず食べる」というものがあります。ものが限られているなかで、いかに無駄を出さずに資源を大切にしながら生き延びるか。そこに想いを馳せながら、無人島での時間を過ごしました。


片付けも大事な仕事の一つ。その場で片付けをしなければ、次にその道具を使う際に苦労します。だからこそ、溜めずにその場で完結させる。無人島で気持ち良く、そして限られた時間を効率よく過ごすための知恵を、身をもって学んでいきました。

1日の終わりには、「焚き火6-6」(「6-6」とは、あるテーマに対して、全員が1分間で発表内容を考えたあと、一人1分ずつそのテーマについて発表していく、花まる流のコミュニケーション方法です。花まる社員の会議で、6人1チームで6分間おこなわれていたことが6-6の由来)をおこない、火を囲んで語り合いました。この日のお題は、「自己PR」と「今日1日を振り返って感じたこと」。自己PRでは、「私ははじけるタイプです。少しうるさいかもしれませんがよろしくお願いします」「友達をたくさん作りたいので積極的に話しかけていきます」「私は人見知りですが、慣れたら自分からどんどん話していきます」「釣りをしたことがあるので、魚をたくさん釣って食事を豪華にしたいです」と自分をさらけ出し、そして相手を知ることで、仲間としての団結力が高まりました。1日の振り返りでは、さまざまな場面での熱い想いを聴くことができました。一人ひとりの話に耳を傾けると、すでに3泊4日の体験をしたのかと思うほど内容が濃く、それだけ心が動かされる瞬間がたくさんあったのだなと感じました。


全員がライトを消して、焚き火の灯りだけで語り合ったのですが、自分の内にある想いをどんどんとさらけ出し、言葉では言い表せない温かい雰囲気が流れました。火のもつパワーを感じた瞬間でもありました。真っ暗闇のなかで見えるのは火の灯りと照らされる仲間の顔。視界が限られることで五感が研ぎ澄まされ、仲間の言葉と表情が鮮明になることもひとつあるのではないかと思いました。


2日目
朝食では、カートンドックを作りました。コッペパンにチーズとソーセージを挟んでアルミホイルで巻き、持参した牛乳パックに入れる。マッチで牛乳パックに火をつければ、トースター代わりになります。「ない」ではなく「ある」に目を向けると、実は「ある」にあふれた世界だということに気がつきます。頭を使って知恵を絞れば、生活は豊かになる、そんなことを感じながらの朝食となりました。


午前中は、無人島開拓を行いました。子どもたちに与えられたミッションは、「無人島の山頂に非常食を運ぶべし」。小リュックに2リットルの水を詰め、標高68mの山頂を目指しました。無人島の森に入ると、そこはジャングルです。何年も人の手が入っていない森は、ツタが複雑に絡み合い、行く手を阻みます。しかし、子どもたちは持ち前のチームワークで励まし、励まされながら無事にミッションをクリアしました!


花まる子ども冒険島では、島の開拓に携わっていただいた方々のお名前を、プレートにして島に残しています。そして、今回参加してくれた子どもたちの名前も開拓団の一員として、島に名前を残します!お子さまが大人になったときに、子どもや孫を連れてこの島を訪れ、この日の思い出話をしてくれたら嬉しいです。


過酷なミッションをやり遂げた子どもたちは、次に海水浴を楽しみました。名目上は遊びかもしれませんが、これも無人島で生き抜くための立派なサバイバル術です。扇風機もクーラーもない無人島で、いかに自分の体温を下げて保持できるか。海に入ることで、赤くなった顔もクールダウンしました。みんなで顔を見合いながら、その違いを確認し、これからの活動のなかで顔が赤くなっている仲間を発見したら「水分補給!」と声を掛け合い、助け合うことを再確認しました。


午後の活動では、釣りレクチャーをおこないました。一人一本与えられた竿を組み立て、自分たちの食材を確保するためのポイントを学びました。子どもたちの表情は真剣そのもの。「大物を釣って食卓を豪華にするぞ!」と意気込んでいました。


夕飯は、すき焼きを食べました。無人島でなぜ豪華なすき焼きを食べるのか。それには私たちスタッフが実際に島で活動をして体験したエピソードが隠されています。とある日、職人と私が島に渡り開拓をしていたときのこと。作業時間を多く確保するために、質素な食事で済ませたところ、作業途中で完全に力尽きてしまい、作業が捗らなくなってしまったのです。しっかりと食べて栄養を蓄えることの重要性を感じた瞬間でした。たくさんお肉が入ったすきやきは、翌日のサバイバル本番に向けての栄養補給です。


この日も夜は、焚き火6-6。この日のお題は「無人島に来て感じた不便。それに対して何を思ったか?」でした。無人島での生活と普段の生活を比べることで、先人の知恵や努力があっていまの生活を送ることができていることを実感する機会となりました。


この日は元々雨予報でしたが、夜まで雨が降ることなく当初の予定通り行程を進めることができました。焚き火6-6の途中で雨が降ってきたため、この日は1つの6-6で終了とし、日記タイムはテントで行いました。


3日目
いよいよサバイバル本番の日。「究極の野外体験、食料が調達できなかったら醤油メシ!」というサバイバル生活がスタートしました。ルールは、①必ず3食お米を食べること、②必ずお風呂に入ること、③19:30までに片付けを終えて焚き火場に集合すること、など。また、男女混合班に切り替わり、新たな仲間と協力して、この難局を乗り越えなければならなくなりました。5人ないし6人で1チームです。そんな状況のなかで、一人ひとりが自分の持ち場で輝き出しました。それぞれの得意分野でお互いをカバーし合い、生活が成り立っていく様は圧巻でした。誰か一人が欠けてもチームは成り立たず、みんなと支え合って、いまを一生懸命に生きる子どもたち。人と人とが触れ合い、心が通い合った空間になっていきました。 さらに、この日はスペシャルゲストの高濱先生が船に乗って登場!一緒に釣りをしたり、磯を歩いてカメノテやカニなどを捕まえたりました。


チーム一丸となってサバイバル生活を送った子どもたちは、目標タイムよりも10分早く焚き火場に集合することができました。この日の焚き火6-6は、「あなたにとっての自由とは何か?」「あなたにとっての幸せとは何か?」「仲間のホメホメタイム」でした。


「あなたにとっての幸せとは?」では、「ぼくは、全部だと思います。勉強していてつらいこともあるけれど、未来の自分にとってはプラスなことであって、それを考えれば嬉しい気持ちになる」「日本に生まれたことが幸せだと思う。ほかの国ではろくに食事もできず、勉強もできないところもある。いまここ(無人島)にいられることも、本当に恵まれていると思う」「私は、仲間といるときに幸せを感じる。つらいことがあっても、仲間や家族がいると励ましてくれて笑顔になれる」「誰かに言われてやるのは過酷だけど、自分が好きなものをやると幸せを感じる。自由と近い感じ」「サマースクールで第一希望に当選したときのように、嬉しいや楽しいというプラスの感情が、ある一定数を超えたときに幸せを感じる」「何かに守られていると感じたときに幸せを感じる」「きついことがあっても最後は笑顔で『楽しかった』『良かった』になる。だからどんなことも幸せにつながっていると思う」「心にゆとりがあることで幸せを感じる。心がすさんでいたら、好きなことも幸せを感じなくなってしまうから」「人とかかわるなかで、思いやりや愛を感じると幸せになる」などの声が。一人ひとりが「幸せ」について話し、そしていろいろな意見に触れる時間。これからも言葉一つひとつに自分の考えをもって生きていこうと伝えました。


最後は、仲間をたたえ合う「ほめほめタイム」でした。「新しい班でドキドキしていたときに、はじめて声をかけてくれた。いつも『ナイス!』と明るい声をかけてくれて嬉しかった」「ムードメーカーでありつつ、何でもできる人!」「自分でできていないことに気づき、『やばい!やってない!』と言ってすぐ行動に移せるところがすごいなって思った」「たくさん話しかけてくれて、心の開かせ方がうまい人だなって思った」「カニの達人!食料調達の天才だった!」「おもしろさのかたまり!まわりの雰囲気をいつも明るくしてくれた!」「やるときはやる男!水運びのときの声掛けが上手で、チームワークが高まった!」「みんなの頑張っているところをたくさん見つけて、それを伝えてくれて嬉しかった!」一人当たり2分間の時間をとったのですが、2分では時間が足りないほどほめほめであふれていました。さらにそのあとは、チーム以外の人へのほめほめタイムも。この時間が何とも温かく、涙あり、笑いありの最高の時間となりましたので、メモに残した内容を一部ご紹介します。


「みんなへ伝えたいのですが、みんな本当に明るいから、この語り合いでも明るく、気を遣わずに話せるんだなって思いました。ありがとうございました」「一応言っておきますが、トヨさんとアニキはカメラマンです。みなさん忘れていないかと思いまして!カメラマンなのに、トヨさんもアニキもめちゃめちゃ助けてくれるヘルプマンでした。ありがとうございました」「ベルがポリスの代わりにリーダーをしてくれて、ベルは救護の仕事もあって大変だっただろうに、リーダーの役目も救護の役目も果たしてくれて、ありがとうございました」「みんな忘れていることなので言いたいんですけど、僕が感謝したいのは高濱先生です。この島を買ってくれて、僕たちをこの島で一緒にしてくれたのも高濱先生のおかげなので、こういう場を作ってくれたのが嬉しかったです。ありがとうございました」「B班のみなさんが良いなって思いました。みんなの様子を見ていたのですが、B班はずっと笑っていました。高濱先生と飛び込みやっているときもすごい楽しそうだった。私も入りたい!!って思っていたのですがごはんを食べていて…。でも旗を持って私もギリギリ映れました(笑)!高濱先生とも楽しそうに話していて、うらやましかったです!」「いつも見えないところで料理を作ってくれた職人、ありがとうございました!」「全員が素晴らしかったです。どこもチームワークが良く、一人ひとりの工夫で進化していって、火がつけにくかったら、これ使ったらいいんじゃない?って声をかけあっていてすごかった! 」「カトパンは、山のぼりの帰りに見つけたツタでターザンをやっていて、どこまでも楽しむ姿がうらやましかったです」「ポリスに感謝したいです。2日目の険しい山登りでは僕たちを見守ってくれて、ありがとうございました!」「本庄鉄工さん(船を管理している方)に送ります。船がさびていたら沈没してここに来ることができなかったかもしれない。管理してくれてありがとうございました!」「無人島の海の幸に感謝したいです。カワハギも釣れて、カニやカメノテも大量にとれて、海の幸が豊富でした。おいしかったです!ありがとうございました!」「ほなけん(リーダー)は、誰かがすごいことをしたら異常なほど讃えあげてくれて、マッチが上手くついたら「マッチの神~!!」って言ってくれて、そう言われると嬉しくなっちゃうような言い方で言ってくれるのが、みんなも嬉しかったと思います」「あまおう(リーダー)は、誰よりも楽しんでいて、私たちに紛れ込んでいました。山登りのときに1班のリーダーが誰もいないなって勘違いするくらい。すごい無邪気で、まるで子どものようでした。その無邪気さがあるから、子どもに寄り添えるんだと思います。ありがとうございました」


リーダーを含め24人で過ごした3泊4日の無人島滞在。大変なことがたくさんあったかもしれませんが、その分24人が一致団結して、ひとつのチームとなり、究極の野外体験を乗り越えることができたのだと思います。そんなみんなに、感謝しかありません。本当にありがとうございました。


無人島最後の夜の締めくくりは、職人からのプレゼント「無人島チョコバナナ」を全員で食べました。


4日目
その人の性格は、来たときではなく、立ち去るときに表れると聞いたことがあります。どうしたら次の子どもたちが、そして100年先の子どもたちが気持ちよく無人島を使うことができるのか。みんなで作業内容を出し合ってから掃除を始めました。4日目で疲れも溜まってきているなかでしたが、最後の力を振り絞り、感謝の気持ちを込めて、花まる子ども冒険島を綺麗にしていった子どもたち。なんと、島を出発する目標タイムの15分前には作業を完了しました!


最後は、お世話になった無人島に一礼をして、島を後にしました。本土では安芸津研修所でお風呂に入り、広島名物のお好み焼きを食べました。無人島生活とは打って変わって文明の力にあふれた世界。そのありがたさを噛み締める時間になりました。


保護者のみなさまもご不安なことがあったことと思いますが、二度の事前説明会にご参加いただきたくさんのご準備やご協力を、誠にありがとうございました。


またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。この度は、本当にありがとうございました。




2022年 夏
花まる学習会 カトパン/加藤崇彰

 

 

加藤崇彰(かとうたかあき)/カトパン

花まる学習会(関西ブロック)

 

写真館 

<カトパンと行く!究極の野外体験 無人島サバイバル>
~自分自身と向き合い、夢を語り、哲学しよう~

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