【花まるコラム】『中3生の様子から』中林壮太

【花まるコラム】『中3生の様子から』中林壮太

 1月は中学受験だけでなく、高校受験も始まる時期です。

 私はスクールFC中学部の責任者として、毎年中学3年生の授業を担当しています。ある年の1月、数学の授業でのこと。都内の私立高校を志望していた中3男子Aくんが突然こう宣言しました。
「俺、(1月の)推薦入試に受かったらもうFCに来ないから!」
それを聞いて驚いたのが、彼の親友のYくん。
「え!」
Yくんの志望校は公立高校で、たとえAくんが先に受験を終えたとしても、3月初めの公立入試まで一緒にFCに通うはずだと思っていたようでした。
「なんでだよ!来いよ!」
「いやあ、受験が終わっているのにFCに来るのもなんだかみんなに悪いしさ…」
「じゃあ、せめて俺の送り迎えだけでも来いよ!」
「なんでそんなことしなきゃいけないんだよ!」
ひときわ大きな声でYくんが言いました。
「…さみしいだろ!!」
教室中が爆笑しました。

 また、ある年の1月。都内の私立高校の推薦入試を受けた中3女子Tさんは健闘実らず、残念ながら不合格となってしまいました。合格発表の日、泣きじゃくるTさんを「まだ一般入試があるから、気持ちを切り替えてがんばろう!」と電話で励まし、なんとか翌日に校舎へ来てもらいました。会うなり涙を流すTさんを再び励まし、自学室に送り出し、様子が気になった私は自学室をのぞきに行きました。
 すると…机に向かっているTさんの前後の席には、NさんとSさんが同じように机に向かっていたのです。実は二人ともTさんと同じ日に都内私立高校の推薦入試を受けて合格しており、もう受験は終わっていました。だからもう自学室に来る必要はないのですが、それでも来ていたのはきっと「最後までみんなでがんばろう」と思っていたからに違いありません。2人からの直接の応援はなくとも、その姿は確実にTさんに力を送っていました。
 その後、Tさんは同じ高校の2月の一般入試で見事合格を勝ち取りました。そして翌日から3人の姿は自学室から消えていたのでした。

 毎年、受験を終えた生徒にアンケートを実施しています。「どうして頑張れた?」という質問の回答で圧倒的に多いのが、「みんなが頑張っていたから」というものです。勉強していてつらくなったとき、あるいは集中できないときにふと周りを見ると頑張っている人たちがいる。そして自分も頑張らねばと思う。だから頑張れた、ということです。そういえばかつて、ある中学3年生の女子生徒が「FCって、学校と違って頑張っている人をけなしたり、水を差したりする人がいないよね」と言っていました。

 子どもたちに受験の話をするとき、私はよく受験をマラソンに例えます。つらく苦しい、長い道のりです。一人で走り続けるのは当然きつい。だからこそ、周りのサポートが必要です。特に、一緒に走り続けてくれる仲間の存在はとても大きいのです。受験指導において、「みんなで」「スクールFCというチームで」戦っていくのだという雰囲気づくりはとても大切なことだと考えています。今年の受験生たちも“全員で”力を発揮しきれるよう導いていきます。

花まる学習会/スクールFC 中林壮太(2021年)


*・*・*花まるコラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだより・FCだよりとともに、会員のみなさまにお渡ししています。


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