「この問題は…2 分30秒で正解を出した子がいままでの最高記録ですね。いま高校2 年生の代の女子だなあ」スクールFC中学受験コースの5 年生算数の授業でのl コマです。中学受験の勉強と聞くと、テキストの問題をがむしゃらに解いていくイメージが強いようですが、花まるグループらしい教材「なぞぺー」(思考力教材)の時間は受験コースでも登場します。いままでに見たことのない、型にはまらない問題と対峙して、さまざまな視点から考えることが要求されます。この日の5年生には、図形の難問が手元に渡っていました。
「先生!僕、さっきトイレに行っていたのでちょっと時間がずれています。歴代記録に残るためにちゃんとカウントしてもらえますか?」と主張する間にも時間が過ぎていく男子の声を筆頭に、
「答え出ました!まだ2 分経っていないですよね?合っていますか!?」
「丸つけチャンスは1 回だけれど、その答えでよいのかな?」
「いや、ちょっと、考え直します」
こんなやりとりが繰り広げられながら、正解に近づく解答ができあがっていきます。私が授業用に準備しているノートには、模範解答と並んで解くのにかかった時間の歴代最高記録や素晴らしい発想と、それを叩き出した生徒名・年度が残っています。更新がかかるたびに下へ下へと行が増えていくページもあります。「あのノートにはおれのお兄ちゃんの名前が載っているんだよ!」「この問題の記録は何年間破られてないのですか?」と関心を引いています。
『長く続いているこの校舎での歴代最高記録』というワードの効果は抜群です。卒業していった先輩たちが、当時自分と同じ学年だった頃にこんな記録を出している。その背中を追いかけながら成長していく様子が伝統的に続いているのも嬉しいことです。われこそはと記録更新を目指してわくわくと手を動かす時間。まるでオリンピックの中継で世界記録がいままさに誕生するかどうかを見守っていたときの興奮が蘇ります。残念ながら数秒の差で今年の記録更新はならずでしたが、教室にいる全員が自分から進んて頭をフル回転させる時間は今年も健在でした。
場面は変わって花まるの教室にて、「今日の算数プリントの3番目の問題は、一発で正解できた子は今週誰もいなかったなあ」いつもの癖で、花まる1 年生の子どもたちに聞こえるようにこんな言葉をつぶやきました。
「おし、おれやってみる!」教室に来てのんびりと準備をしていた男の子の目つきが変わり、1 番2 番を飛ばしていきなり3 番にチャレンジ!
結果、お手本のように引っかかってくれましたが、果敢に挑戦する姿には、いままでに見たことがない気迫が満ちていました。エンジンがかかったからか、間違い直しも、手をつけていなかった1番2番も、別人のようにスムーズに取り組んでいました。
どの年齢の子どもたちにも、歴代最高記録にチャレンジすることに成長の鍵があるのだろうな、そんなことを感じさせてもらえる場面でした。今週の教室でも、記録を残していこうと思います。
スクールFC 梅﨑隆義(2021年)
*・*・*花まるコラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだより・FCだよりとともに、会員のみなさまにお渡ししています。
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