みなさんは算数が好きですか?この答えには「好き」でも「嫌い」でも即答できる方が結構多いのではないでしょうか。それでは、「苦手なものでもここまで努力して克服した!」というエピソードはどうでしょうか。それも大人になってからではなくて、小学生の頃、10歳になるかならないかの頃の努力です。
今回はその頑張りを見せている、そんな女の子の物語。
彼女はスクールFCの4年総合コースで算数を学んでいるKちゃん。最初に会ったときからいわゆる計算のミスだったりスピードのゆっくりさであったり、決して算数が得意には見えませんでした。新学期が始まって数か月経って実施した実力確認のアチーブテストでも、正答の数は両手の指で数えられるくらいでした。課題への取り組みを見ても、お世辞にもスムーズに進んでいる、とは言えません。 これでは自信もやる気もなくなってしまうんじゃないか…とハラハラしてしまうような具合です。けれども彼女は、毎回仲よしの友達と一緒にニコニコと教室に現れ、1日も欠かさず通い続けています。
彼女は毎回、わからないことは素直に質問し、できないことができるようになると、実にうれしそうに笑います。オンライン授業に切り替わった時期もそれは変わらず、できた問題を画面に映してほほえんでいました。
先日は授業内で、仲のいい友達(いつもはけっこう負けています)よりも早く問題に正解し「よっしゃ!」と満面の笑みを浮かべていました。そして友達のほうは「悔しい~!」とこちらも手を抜いていません。
こんなやりとりもあり、2回目を迎えたアチーブテストでは、思考力が問われる問題を2問、ともに正解しました。ちなみに、前回はまったく歯が立たず、考えた形跡もなかったくらいです。
一体、何がKちゃんの成長につながったのでしょうか。
一つは、友達の存在。話を聞いてみると、ご家庭同士もご近所で非常に仲がいいとのこと。彼女と一緒に通っていることは、モチベーションの1つになっているはずです。そして、ゲームのように毎回競い合うことによって、テストの点数をそこまで気にせずに頑張り続けることができているように思えます。
そしてもう一点、これが最も大きな要素だと思うのは、「楽しんでいる」ことです。もしかしたら、本人も「算数は苦手だな、嫌いだな」とは思っているのかもしれません。それでも、日々の授業に笑顔で取り組んでいます。
大人になると、苦手なものを目の前にするといやな気持ちで取り組んだり、それ以外のものでカバーしようとしたり、別のやり方を使ってかわしたりすることもできるようになります。けれども、「楽しい」気持ちをエネルギー源に、確実に前に進んでいるKちゃんの姿を見ていると、今後の成長が楽しみであると同時に、大人になって忘れかけていた感情がよみがえってくるような気がします。
花まる学習会 菅原大輔(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。