【花まるコラム】『スイッチが入るとき』此﨑忍

【花まるコラム】『スイッチが入るとき』此﨑忍

 3学期、次の学年が近づき、それぞれの成長を感じることができる時期です。年中、年長クラスでは、次の学年に向けての体験授業があり、小学生クラスでは、学年最後のHIT(Hanamaru Intelligence Test)・花まる漢字テスト(花漢)があります。新年度の体験授業や年長クラスの硬筆大会、小学生のHIT、花漢を見ていると、子どもたちの成長を感じることができます。

 年中クラスのKくん。“思考と行動が同時”という幼児の特性もあり、なかなかじっとしていられないところがありました。わからないことがあると「やらない」と言ってテキストを閉じてしまうこともあります。年長コースの授業内容を体験する日も同様に、テキストを閉じてしまいました。そこで講師があることを我慢しました。やっていないページには、花まるをつけなかったのです。Kくんが「花まるは?」と言っても「やっていないから、つけられないな」と、あえて花まるをつけませんでした。
 そうしたところ、花まるが欲しくなったKくんはテキストを自分から開き、取り組むようになったのです。そして、得意な迷路のページでは「できたよ!」と全身で喜びを表現していました。翌週の授業では、Kくんは最初から気合十分に、ピシッとテキストを持ち、ことばのページに取り組むことができたのです。

 年長クラスのKくん。「まいにち花まる」が大好きで、まいにち花まる年長コースの先生たちに手紙を書くほどでした。彼の変化が見られたのは年長クラスで2月末に実施した、硬筆大会です。入会当初は筆圧が弱く、字も特別に上手くはありませんでした。ところが、まいにち花まるにハマった彼は、動画内での取り組みにある運筆や「かっくん」(書き順教材)に積極的に取り組み、硬筆大会の練習も頑張っていました。硬筆大会本番。彼が書いた字は年長クラスとは思えないほど、読みやすい字だったのです。

 3年生のYくん。教室ではどちらかというと大人しく、淡々とテキストを進める子です。そのKくんが頑張っていたのは「さくら」という精読の教材。私がテキストを読んだあとにクイズを出すのですが、2年生のときの彼はなかなか手を挙げることができませんでした。ところが3年生になり、手を挙げる機会が増えました。Yくんのお母さんに電話で話を聞いたところ、正解者のテキストに押している、私の似顔絵スタンプが欲しくて頑張っているとのことでした。スタンプをもらうために毎回手を挙げる努力をしているYくんは、花漢でも合格のための努力を続けていました。今回の結果は、特待合格(96点以上)。大喜びかと思いきや、返却時はやや喜ぶぐらいでとどまっていました。その後、お母さんからは、一週間ほどずっと喜んでいたことを聞きました。

 同じく3年生のRちゃん。花漢に向けて努力をしているのに、あと一歩及ばず特待合格がとれずにいました。ところが、前回の花漢でその殻を破り、特待合格をとりました。そこでつけた自信からか、今回の花漢はいつもと違いました。スラスラと漢字を埋めていき、答案をすべて埋めることができたのです。
 花漢の返却日、Rちゃんに自信があるかと尋ねたところ、「うん」と満面の笑み。この日の授業を終えて、最後に花漢を返却しました。名前を呼ばれて私の前に受け取りに来たRちゃん。ドキドキしながら中身を見ると、100点の答案。飛び跳ねて喜びを表現していました。

 まだまだ教室内での成長の事例は尽きませんが、1人ひとり着実に成長しています。今回お話しした4名に共通していたのは、きっかけをつかみ、継続につなげていたこと。「継続は力なり」という言葉が示すように、何事も続けることで、大きな力となっていきます。継続することは簡単ではないからこそ、きっかけが必要です。花まるの教室がきっかけをつかむ場になっていけるよう、これからも子どもたちと向き合ってまいります。

花まる学習会 此﨑忍(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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