一年のなかで子どもたちがとても楽しみにしている行事の一つは、間違いなくクリスマスでしょう。教室で毎週書いている作文でも「今年のプレゼントは何かなあ?」とそわそわする気持ちを記していました。
実は去年のクリスマスに、私は子どもたちから素敵なプレゼントをもらいました。
4年生のMちゃんは心優しい女の子。手芸が得意で、これまでもことあるごとに作品を作っては見せてくれていました。Mちゃんが3年生のときに見せてくれたのは、学校で作ったというお花のワッペン。色彩センスに感心したのを覚えています。
その前の週、Mちゃんは千代紙で作った大きなプレゼントボックスを大切そうに持っていました。「先生、見せてあげるよ」というので見てみると、大きな箱から小さな箱がでてきました。でてきた箱を開けてみるとさらに小さな箱が出てきて、まるでマトリョーシカ人形のようになっています。「さすがMちゃん、器用だなあ。次は何が出てくるんだろう」と感心していると、Mちゃんは「これは先生にはあげないよ」とちょっぴり得意気に言いました。しかし実はその箱の奥に、Mちゃんが私に渡したかったプレゼントが入っていたのでした。
授業後、Mちゃんはもじもじしながら私の前にやって来ました。Mちゃんの手には、雨のしずくの模様が描かれた小さな紙箱が見えました。
お母さんから「渡さないの?」と背中を押されても、Mちゃんはやはり照れくさいのか「うーん、どうしようかなあ」と言ってなかなか行動に移せません。Mちゃんはその後も気になっていたのか、歩きながらも自分の手元にある箱をちらちら見ているのが見えました。
その翌週、算数の授業に差し掛かったときに、Mちゃんが「先生にこれをあげる!」と、あの紙箱を出してきました。
箱から出てきたのは、なんとMちゃんが自分で金具をつなげて作ったというイヤリングでした。金色のチェーンに、青いビーズと大理石のようなピンクの四角いパーツが下がるイヤリング。Mちゃん自身がパーツを選び、金継ぎもしたのだそうです。とても4年生が作ったとは思えない素晴らしい出来ですし、何よりうれしかったのは、私の好みをよくわかってくれていると感じたことでした。「先生はきっとこういうのが好きだろうなあ。喜んでくれるかなあ」と思いを馳せてくれたのだと思うと、胸が熱くなります。私が持っているアクセサリーともぴったり合うイヤリング。大切なコレクションの一つに加わりました。
「喜んでもらいたい!」という子どもたちの思いを大人たちが受け取り、「ありがとう」の一言を伝えたとき、子どもたちの感性はすくすくと育っていきます。「喜んでもらえた!」「自分の作ったものが認められた!」と感じたときの嬉しさこそ、子どもたちが自信を得るチャンス。その瞬間を見逃さないようにしていきたいものです。おざなりにではなく、子どもたちの思いには、大人側も最高の笑顔で答えていきたいです。
一人ひとりの交流を通して子どもたちの心がのびやかに育つ場を、今年度も作っていきます。
スクールFC 熊田多友子(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。