【花まるコラム】『子どものやる気と自信』水谷真奈

【花まるコラム】『子どものやる気と自信』水谷真奈

 教室では、日々子どもたちの成長を感じる出来事が起こります。毎回の授業で、子どもたちが自分の力を大きく伸ばしていることを感じます。今回は、自分の得意なことに自信を持ち、学びを心から楽しむ子どもたちの姿をお伝えします。

 体験授業に来た3年生のSちゃん。はじめての花まる学習会の授業に戸惑いながらも、すました態度で席に座っていました。そんなSちゃんが、なんだこれ?というような目でファイルを見ていたことが気になり、私は声をかけに行きました。
「はじめまして、真奈先生です。いまは算数の文章題のプリントをやるよ!これだね」
 最初は、私が提示したものを黙々とこなしていました。大きく発声をすることで心身を解放させるための「四字熟語」、詩や俳句を音読し、日本語の響きの美しさを味わう「たんぽぽ」の時間も、文字を目で追いながら、周りの子の声の大きさに圧倒されている様子でした。
 しかし、授業の中盤で変化が起きました。文章を転写することで書く力の土台をつくる「あさがお」や、計算の反復教材である「サボテン」に取り組んでいるときです。解き終わった際に「できた!」と言い、花まるをもらっているみんなの様子を見て、Sちゃんも大きな声で「できた!」と言いました。
 「とても見やすくて丁寧な字だね!」「すごい!計算の方法をしっかりと理解しているね」と私が声をかけて花まるをつけると、Sちゃんは笑顔になりました。そこから、Sちゃんの心がほぐれていきました。
 思考力を鍛える「なぞぺー」の問題を真剣に考え、書いては消してを繰り返し、「先生!できた」とためらいなく言うSちゃんの表情は、最初とまるで違いました。緊張がほぐれて、純粋に授業の時間、この空間を楽しんでいることが伝わってきました。

  1年生のKちゃんは、自分の頭でじっくりと物事を考えます。指示を聞いたあと、机の上に置いておくファイルに何を入れておけば安心かな、プリントはどこにあるかな、とカバンのなかを見る様子はゆっくりとしていて、準備に時間がかかっていました。
 周りの子よりも準備に時間がかかることに気づいて、しゅんとしていたKちゃん。2つの積み木を見本通りに組み合わせる「キューブキューブ」の課題も、周りの子たちが素早く完成させるので「私はキューブ苦手かも…」と、自信を失っていました。
 しかし、絵を見て「このあとはどうなる?」とオチを考えて発表をする「たこマン」の時間になると、Kちゃんは前のめりになって手をあげ、自信をもって発表しました。Kちゃんのアイディアは、シンプルかつ秀逸で、みんなをあっと驚かせました。
 「なぞぺー」の時間も笑顔で、自分で考えて答えを見つけ出すことを楽しんでいるように見えました。解き終えたあとの「できた!」という声には、達成感と喜びが込められていました。私が、「最後まで粘り強く考えることができたね!」と伝えると、嬉しそうに笑いました。

 子どもたちは、自分のできたことを認められると、とても喜びます。そして、「一生懸命に取り組むことは楽しい!」という感覚を知ります。その気づきに寄り添うこと、子どものがんばりや表情を言葉にして伝えていくことが、子どもたちのやる気や自信につながっていきます。

 子どもの楽しんでいる様子や得意なことに着目し、それを認める声掛けをすることの大切さを実感しました。
 今後も子どもたち一人ひとりの好き、得意という感覚に光を当てて、学びを楽しむ気持ちを最大限に引き出していきます。また、わからない、もやもやするといった子どもたちの感情の動きを見逃さず、フォローをし、目標をもって導いてまいります。

花まる学習会  水谷真奈(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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