【花まるコラム】『計画よりも大事なこと』古川凜

【花まるコラム】『計画よりも大事なこと』古川凜

 花まる学習会では、低学年クラス(1~3年生)と高学年クラス(4~6年生)とに分かれて学習をしています。

 高学年クラスでは、1週間のスケジュールを自分で考えて、そのスケジュールを実行していくのですが、まずは花まるの宿題がどのタイミングでできるのかを知るために、1週間のルーティンを洗い出します。

 4年生のTくん。彼は花まる以外にもスポーツの習い事をしているので、土日を含め、忙しい毎日を過ごしています。
「あ!テレビを見る時間がなくなった!」
スケジュールを組み立てていたTくんがつぶやきました。Tくんが書いたのは、『平日は朝1時間、学校から帰ってきてから2時間宿題をし、土日は習い事が終わったらすぐに宿題を3時間する』というスケジュール。「宿題」という文字がびっしりと書き込まれている彼のスケジュールを見て、
「このスケジュールで1週間しっかり続けて来られる?」
と尋ねました。すると、Tくんは
「うん!4年生になったんだし、これくらいできる!余裕だ!」
と目を輝かせてかなり張り切っている様子でした。
 次の週。いつものように宿題の確認をしていると、なかなか宿題を出さないTくん。
「あれ?Tくん、宿題が出ていないよ?」
そう声をかけると、
「もしかしたら忘れてきたかもしれない…」
と小さな声で返事をしました。
 Tくんの宿題を確認してみると、ほとんど手をつけられておらず、ノートもほぼ真っ白な状態。なぜ宿題をやってこられなかったのか聞いてみると、
「最初は頑張ってやろうと思ったけれど、自分で作ったスケジュールを見たら、その通りにはできなくて…。本当はもっとテレビが見たかった」
と正直に話してくれました。
 このとき私はTくんに「計画通りではなくても、やり切ることが大事だ」と伝えました。

「立派すぎる決心は、きっと三日坊主になる」
これはある本を読んで出合った言葉です。計画通りにできずに苦しんでいるTくんに伝えたい言葉だと思いました。
 私自身も経験があるのですが、完璧に作った理想の計画はなかなか上手くいかないもので、「計画通りにできなかった」と苦しくなることもあります。ですが、その計画が悪いのではなく、できないとわかった時点で変えていけばいいのです。
 Tくんはその日の授業後、すぐにスケジュールを書き直しました。「とりあえず、このスケジュールでやってみるよ!」そういって笑顔で帰っていったTくんでした。

 最高の計画を立てるよりも、やり遂げる強い意志を持てるよう、子どもたちに伝えてまいります。

花まる学習会  古川凜 (2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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