【花まるコラム】『本音と底力』井上笑里

【花まるコラム】『本音と底力』井上笑里

 先日、年中コースでは特別授業を、小学生コースではHIT(Hanamaru Intelligence Test)・花まる漢字テストをおこないました。各コースでのほっこりエピソードを紹介したいと思います。

 年中クラスでおこなったのは、紙を使った実験と、創作活動。まずはティッシュペーパー、新聞紙、コピー用紙、ペーパータオルなど、さまざまな質感の紙を用意し、触ったり、振って音を出したり、破いたりして、五感で楽しみました。
 ふと子どもたちに、「どの紙が好き?」と聞いてみると、全員一致でペーパータオルを選んだのです。不思議に思って理由を聞いてみると、
「(触り心地が)もさもさしてるから!」
「ふわふわだから!」
など、みな手触りが気に入ったようでした。柔らかく、ティッシュペーパーよりもしっかりとした感触があることが、人気の理由だったのかなと思います。手で触った感覚で、本能的に安心感を覚えていたのかもしれないですね。
 授業の後半では、メダル作りをしました。授業で折り紙を使う回は何度もあるのですが、金と銀の折り紙が使えるのは、年に一度、この授業だけです。最近妹が生まれ、お姉ちゃんになったRちゃんは、
「お父さんとお母さんにあげるのー!赤ちゃんは頑張っていないからあげなーい」
と言いながら、金メダルと銀メダルを一生懸命作っていました。いままでは100%自分だけに向いていた愛情が、下の子にも注がれるようになり、お父さんとお母さんを取られてしまったような、少し寂しく感じている新米お姉ちゃんの葛藤が垣間見えました。教室でポロっとこぼしてくれた本音が、なんともかわいらしく思えた瞬間でした。

 小学生クラスについては、花漢(花まる漢字テスト)の時間の話を。
 テスト時間も半分を過ぎると、ほとんどの枠が埋まり、「あと1つ2つ思い出せない漢字があるんだけどなぁ~!」と頭を抱える子が増えてきます。そこで毎回実施しているのが、『笑里先生パワーの注入』。この笑里先生パワーは、「絶対に思い出せる!」と信じている子にしか届かない、不思議なパワーです。
 子どもたちは手を伸ばし、必死に思い出したい漢字を頭に浮かべながら、心で唱えながらパワーをもらいます。すると毎回必ず5~6人の子どもたちが
「あ、わかった!」
「思い出したー!」
と再び鉛筆を走らせるのです。今回は、3年生のNちゃんから
「笑里先生ありがとう!大好き!」
という言葉まで飛び出しました。
 もちろん私に魔法使いの才能はなく、「笑里先生も応援しているから最後まで頑張れ!」の気持ちを送っているだけに過ぎないのですが、その思いがしっかりと子どもたちに届いているようです。応援の気持ちが力になると、改めて感じることができるとても大好きな時間です。
 いままでたくさん勉強してきたからこそ、あと1つ、あと1点を求めて思い出そうと、最後まで粘ることができるのでしょう。いつも私に感謝をしてくれる子どもたちですが、この結果は、子どもたちの頑張りの賜物だと思っています。是非テストが返ってきたら、点数だけに囚われず、「よく頑張ったね!」とたくさん褒めてあげてください。褒めてあげれば間違えた問題も、「なんで間違えちゃったのかな?」と前向きに解き直したい気持ちにもなるものです。

 

花まる学習会 井上笑里(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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