【花まるコラム】『Yくんの学習意欲を高めたお母さんの声かけ』市沢大我

【花まるコラム】『Yくんの学習意欲を高めたお母さんの声かけ』市沢大我

私「1㎏は何グラム?」
子どもたち「1000g!」

私「じゃあ、4300gは何キログラム?」
男の子「43kg!」
女の子「4.3㎏!」
私「正解は4.3㎏でした!」
男の子「あぁぁぁ」
女の子「いぇーい!」
私「1kgは1000gだから40kgもあったら40000gになっちゃうね」
男の子 「そっか~そうだね」

 4年生の単位換算の問題。クイズ形式で問題を出していました。後半の問題になってくると、4年生のYくんはなかなか正解できません。しかし隣の女の子と話しながら
「お前が先に言えよ~。おれは、あとで言いたい!」「52.001㎏?52.01㎏?どっちかな?おれは52.01kgだと思うんだよな~」
「正解は52.001㎏でした!1gは0.001kgだったね」
「あ~なるほどね~」
と、とても楽しそうに取り組めていました。普段の授業でも
「ここ惜しい!」
「え~、ちがうのかあ」
「実はここはこうなります!」
「あ~!そうやってやるのかあ!」
というように、できない問題から逃げずに解説を熱心に聞いていました。Yくんからは、学ぶ意欲をひしひしと感じます。そういう姿を毎週見ていると、幼少期に何か特別な経験をしてきたのだろうかと思うようになりました。

 Yくんのお母さまとお話しさせていただく機会がありました。Yくんのお母さまは「先日は先生に教えてもらって、帰りの車内で『楽しかった!』とイキイキと話してくれました。いまは苦手意識があるようですが、先生のおっしゃる通り、算数への意欲はあり、できるようになりたいとう気持ちが強いです。ガラスのハートなので(笑)落ち込みもしますが、基本的に楽観的な性格なで、褒められると『おれ、天才!』と言い放ちます。まっ、私が小さい頃から天才天才と声掛けしてきているので(笑)どうかYは『天才!』と言って、どこまでもどこまでも天高く伸ばしてやってください」と話してくださいました。そのとき、Yくんの学びの意欲が高いのは、幼少期からお母さまにたくさん褒められてきたからだ、とわかるとともに、子どもたちにとって、親に褒められることは何よりうれしいことなのだと改めて感じました。

 学ぶ意欲の高さで、子どもの持っている能力をどれだけ発揮できるかが決まってくると思います。100の能力をもっている子でも、意欲が80%しかなければ、発揮できる能力は80。一方、80の能力しかもっていなくても、意欲が100%あれば80の能力を出せる。だから、一人ひとりの子どもたちの意欲を100%にできるよう、たくさん認める声かけをしていきたいと思っております。

 教室で子どもたちが問題を解いていると、なんてことない、ほとんどの子が解ける問題をクリアして「こういうことね!できた!もっと難しいのちょうだい!」と達成感を味わう子がかなりいます。もちろん教室では「すごいね!できたね!」とたくさん褒めていきますが、子どもたちにとって特別な存在であるお父さん・お母さんからも、そういう瞬間があればぜひたくさん褒めてあげていただきたいと思います。

花まる学習会  市沢大我(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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