【花まるコラム】『悔しい気持ちをバネにして』元吉遥子

【花まるコラム】『悔しい気持ちをバネにして』元吉遥子

 先日の低学年・高学年クラスでは、HIT(Hanamaru Intelligence Test)と花まる漢字テストを行いました。子どもたちが特に気合を入れて準備してくるのが花まる漢字テスト。この日に向けて、家や学校でコツコツ漢字練習をしています。1問2点が50問。70点以上をとると合格となり、賞状がもらえます。96点以上は特待合格といって、大きな賞状がもらえます。子どもたちはこの特待合格を目指して、漢字練習や演習問題に取り組んでいます。

 「テスト」というと、私にとっては苦い思い出の1つです。小学校のときの漢字50問テストは、いまでも忘れられません。習った漢字を50問、学期末に総復習するためのテストです。40点以上でないと再テストとなり、休み時間を使ってもう一度受けなければなりませんでした。2年生までは自宅学習をしなくても簡単に点数を取れていたのですが、3年生になって初めてのテストは散々な結果で、「あれ?なんでだろう」と感じたのを覚えています。悔しいというよりも、合格できないことが不思議で、不合格の原因がわかりませんでした。母に結果を見せたとき、「漢字練習した?」と聞かれ、「漢字練習……?」と頭の中はハテナでいっぱいでした。それまで「漢字は練習して書けるようにするもの」という意識がなかったのです。学校から宿題として出されるドリルの練習しかしてこず、自ら練習する機会を設けたことがありませんでした。このとき初めて漢字練習の必要性を感じ、再テストに向けて取り組みました。漢字練習の方法を担任の先生に教えてもらい、テストで書けなかった漢字をひたすら練習して、次のテストで合格しました。それからのテストでは、漢字練習をしてからテストに挑むようになりました。

 先日の授業での花まる漢字テストは、進級して初めてのテストだったためか、いつもより静かで、子どもたちは緊張している様子でした。その緊張感がいい雰囲気をつくり、集中してテストに挑んでいるようでした。

 テスト中、どこからか泣き声が聞こえてきました。教室を見渡すと、2年生のMちゃんがぽろぽろと涙を流し、時おり鼻をすすりながら、ティッシュで目を押さえています。うしろからそっと近づいてみると、解答用紙はところどころ抜けていて、合格ギリギリのラインでした。声をかけるべきか迷いましたが、悟られないよう声を押し殺し、泣きながらもなんとか手を動かして解こうとしていたため、そっと見守ることにしました。そこからのMちゃんは目をティッシュで押さえては、鉛筆を持って悩んで止まって、を繰り返して何度も何度も書き直していました。テスト用紙はすでにしわくちゃで、余白にたくさん漢字が書いてあり、「なんとか思い出したい!」という気持ちが伝わってきました。終了の時間になったときには、Mちゃんの目は真っ赤に腫れていました。漢字テストが終わると、すぐに漢字ポケット辞典を出して、書けなかった漢字を調べていました。正解がわかるとがっくりと肩を落としながらも、手のひらに強く指で書いて、さようならの挨拶をする直前まで何回も練習していました。その姿からは「悔しさ」がよく伝わってくるのと同時に、次回に向けて強くなれる、成長するチャンスだと感じました。

 満足のいく結果を出した子もいれば、悔しい思いをする子もいます。テストを返却する際には、子どもたちへ「点数がすべてではないこと、どこができなかったのかを見直すこと」を伝えています。テストを受けて終わりではなく、どんな結果でも受け止め、その場で感じた気持ちを次に向けて頑張る活力に変えてくれることを願っています。

 今回のHIT・花まる漢字テストも、全員が真剣に向き合いました。ぜひご家庭で「がんばったね!」と一言伝えてあげてください。   

花まる学習会  元吉遥子 (2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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