【花まるコラム】『原動力は自信』渡邉みなみ

【花まるコラム】『原動力は自信』渡邉みなみ

「先生、もう一回お願いします!!」
何度もたんぽぽ検定に挑戦する3年生のHくん。「たんぽぽ検定」とは、低学年クラスで行っている、日本の古典を素読する「たんぽぽ」という教材の暗唱テストです。

 普段、生活のなかではあまり馴染みのない古典。暗唱のために何度も練習を重ねる子がたくさんいます。3年生のHくんもその一人で、自宅でも練習しているそうです。
 Hくんは、好奇心が旺盛。新しいこと、難しいことにも「何それ~!おもしろそう!」と目を輝かせている姿が印象的です。たんぽぽ検定では合格すると教室長のスタンプがもらえるのですが、そのスタンプがビンゴのように縦にも横にも揃うのが嬉しいようで、すでにいくつもスタンプを獲得しています。いま挑戦しているのは、文章量が多く難易度も高い『方丈記』。教室にやってくるとすぐに、たんぽぽの冊子を片手に「先生、たんぽぽ検定、やってもいいですか?」とやる気満々。「すごい!もう覚えたんだ!」と伝えると、「はい!もう言えます!」と自信に満ちあふれていました。しかし、いざ挑戦してみると、緊張のあまり2行目でミスをしてしまい、成功ならず。次の挑戦でも同じところでミスをし、なかなか合格できません。その後も何度か挑戦し、「あー!まただ!」と悔しがっていました。そして、やっと2行目の壁を乗り越え、4行目まではクリア!すると今度は、5行目の壁が待っていました。しかしHくんは、決して諦めません。失敗すると席に戻って1人で練習をし、何度も挑み続ける。それを繰り返し「次はできる!もうできる!」と言い聞かせ、再び挑戦します。すると、見事に『方丈記』の暗唱ができるようになったHくん。その瞬間、「やったー!!嬉しい!スッキリしたー!」といまにも飛び跳ねそうなほど大喜びしていました。諦めずに何度も挑戦し、頑張ったからこその結果。達成感にあふれていました。合格の証のスタンプをもらうと「全部集めるぞ~!」と、すでに次の暗唱に向けて意気込むところもHくんの魅力です。

 この「達成感」は、頑張ったからこそ味わえるもの。何かをやり遂げた経験、それを認められた瞬間に、子どもの自信につながります。Hくんは、4月から挑戦し続け、頑張って達成できた、認められたという経験を積み重ねてきたからこそ、諦めずに何度も挑戦できるのです。子どもたちには、Hくんのように花まるで何か一つでも自分ならできるという自信を見つけてほしいと考えています。そのために、教室で一人ひとりの「できた」瞬間を見逃さず、頑張りを認め続けてまいります。

花まる学習会  渡邉みなみ (2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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