私自身の、小学生の頃の「夏の成長」といえば、サッカー合宿、毎朝のラジオ体操、毎朝の母とのジョギング、父との登山が思い出されます。
3年生から参加したサッカー合宿は、練習内容がきついことに加え、水も飲ませてもらえない、鬼コーチが怖い…。朝から晩まで泣き続け、食事は喉を通りませんでした。「もう来たくない」と感じても、翌年の夏もその翌年も、6年生までこの「拘束」される環境に身を置くことは、既定路線でした。6年生の合宿最終日、過去3回の際には到底気づく余裕も余力も感情もなかったのであろう、初めて澄み切った青空と爽やかな夏の風を感じました。「苦悩の日々のあとには、必ず達成感や自身の成長がある」これはいずれ、私の人生観となりました。
毎朝の母とのジョギングは、夏休みに限らず一年中していました。言い換えれば、学校が休みであることに影響は受けず、習慣として行われ続けていました。なぜ、毎日できたのか。きっと、母が子どものためにやっているのではなく、母自身が毎日走ることを楽しみにしていたからだと思います。母が「フォー!」と言いながら軽やかに走っていた姿を、いまでも鮮明に覚えています。
父との登山は、非日常体験でした。父は私が尊敬する「仕事人間」でした。普段会話をする機会がないためか、いざ2人きりになっても話が弾まない。数日間、何か話したのだろうか。いくつかの山を登りましたが、八ヶ岳は天候不良を理由に途中で引き返しました。雨で濡れていた岩の上で足を滑らせ、水たまりにお尻から落ち、父に「健一郎はどうしたい?」と聞かれ、葛藤はあったのですが「帰りたい」と言ってしまいました。下山途中、すれ違う登山者がいるたびに情けない気持ちになったことを覚えています。その感情はずっと残っていて、大学生の頃に1人で八ヶ岳へ。3泊4日、単独登頂に成功しました。父は私と一緒にこの景色とこの達成感を味わうことを楽しみにしていたのだろうか、と思うと、嬉しさとともに切ない気持ちにもなりました。
これをやったほうがいい、これは有効的だというネット記事や子育て本はたくさんありますが、親が好きなこと、親が得意なことを活かす、親が自分らしくいることも大切なのだと思うようにしています。今年の夏は、わが子にとっても、親にとっても、家族の大切な1ページを目指します。
花まる学習会 真島健一郎(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。