【花まるコラム】『みんな問題児だった』長谷川陽介

【花まるコラム】『みんな問題児だった』長谷川陽介

 今回のコラムのタイトルは『いやいやえん』『ぐりとグラ』などで有名な児童文学作家、中川李枝子さんの書籍『子どもはみんな問題児。』からつけさせていただきました。

 以前、金曜ロードショーで「スタンド・バイ・ミー」「グーニーズ」など、私が子どもの頃に大好きだった作品が連続して放送される時期がありました。教室の子どもたちにもその魅力を伝えたいと思い話をすると、何人かの子どもたちは「うちの親も好きって言ってた!」と教えてくれました。放送後に感想を伝えてくれる子もいました。

 子どもとかかわる仕事をしているうえで私は、

「作品によって子どもが触れるべきベストなタイミングの年齢がある」

ということをひとつの研究テーマにしています。きっとわが子に「グーニーズ」を勧めた方も、自分が子どもの頃に見てワクワクしたあのときの気持ちを味わってほしくて勧めたのでしょう。映画に限らずですが、親の目線で子どもに触れてほしい作品と、親が子どもの頃に好きだった作品というのは、微妙に異なるのではないでしょうか。冷静に考えてみれば「スタンド・バイ・ミー」には、子どもが喫煙したり、そもそもの目的が死体を探すであったりと、子どもたちに勧めにくい表現がいくつも見受けられます。親にとっては、むしろ見せたくない作品かもしれません。しかし、正論だけでは上手くいかない社会を生き抜くためには、ときには、不適切さや理不尽さなどに触れる経験も必要なのかもしれません。

 私が子どもの頃の話ですが、漫画ばかり(しかも学習漫画などではなく、少年ジャンプに載っているようなコミックスばかり) 読むわが子を見かねたのか、ある日学校から帰ると、私の部屋の勉強机の上に何十冊もの偉人の伝記が置いてありました。中古だったようなので、おそらく知り合いから譲ってもらったのだと思いますが、私はその伝記を1ページたりとも読みませんでした。伝記が好きな子どもは、学力が高いという話を聞いたことがあります。伝記を子どもに勧めてはよくないという話ではありません。興味をもたない時期に強引に勧めてもあまり意味はなく、むしろ逆効果になる可能性があるということです。子どもに作品を勧めるとき、親としての視点も大切ですが、入ってはいけないところに入り、触ってはいけないものを触り、食べてはいけないものを食べたがるのが子どもなわけですし、何を子どもに勧めればよいのか迷ったときには「子どもの頃の自分なら?」という視点も必要です。

「リトル・ロマンス」「 ぼくらの7日間戦争」「ホーム・アローン」「ポーラ・エキスプレス」…

子どもの頃にワクワクした作品を、わが子と一緒に観る、そんな幸せな時間をぜひ過ごしてみてください。それは、親が見せたい作品を半ば無理矢理見せるよりも、ずっと意味のある時間になるはずです。

花まる学習会 長谷川陽介(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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