先日の授業で、なぞぺー(思考力教材)のテキストを開くやいなや、
「あっ!私この問題好き!得意!」
と言った子がいました。この子は花まるに通い始めてまだ1年ちょっとなのですが、先ほどの言葉から、もうすでに「考えることが好き」という気持ちが育ってきているのだなと感じました。毎回の授業での「わかっちゃった!」の積み重ねで、こういう前向きな気持ちが芽生えたのだとしたら、これほど嬉しいことはありません。
私自身が「勉強って、楽しいものなのだな」と初めて心から思えたときのことを、いまでもよく覚えています。私が小学3年生のときでした。当時、勉強に対してものすごく苦手意識があったわけではありませんでしたが、「得意」とか「好き」とか、そういったプラスなイメージはもっていませんでした。私が風邪で学校を休んだときのこと。友達が宿題の算数プリントを届けてくれたので取り組んでみたのですが、内容がよくわかりませんでした。学校を休んだ当日に授業で扱った内容だったのです。仕方なく、お世話好きの姉に算数の教科書を用いて解説してもらい、なんとか宿題を終えました。翌日学校に行き、算数の授業を受けていると、驚いたことに、前日に姉から教えてもらった内容を先生が解説し始めたのです。姉は、学校で未習だったところまで私に解説してくれていたのでした。この予期せぬ予習のおかげで、授業の内容がよく理解できました。先生の質問に対して挙手して発表することもできました。当時の私は授業中、積極的に挙手して発表するタイプではなかったので、先生も友達も、少し驚いていたことを覚えています。その結果、私はそれまでは「好きじゃない」とさえ思っていた算数が一気に好きになりました。「わかるとおもしろい!」と心から思えたこと、「私もやればできるんだ!」と自信をもてたことで、この日以降、算数の授業のみならず、他の教科の授業も主体的に参加するようになりました。単純すぎる事例ですが、本当の話です。こんな小さな出来事一つで、私の学習観は前向きに変化したのです。
「自信をつけて変わった」と言えば、小学校の6年間、花まるに通っていたSちゃんを思い出します。ちょっと引っ込み思案で、口数が少ないSちゃん。低学年のときから花まるの宿題(1日1ページの計算と書き写し)を毎日、真面目にやっていました。それに加え、学期に一度行う花まる漢字テストでは、毎回、特待合格(96点以上の高得点で合格すること)を狙ってコツコツ勉強していました。Sちゃんのすごさは、これを6年間やり続けたことです。高学年にもなると、計算の宿題を溜めてしまったり、漢字テストも「ギリギリで合格できればいいや」と、臨む姿勢がこれまでと変わってしまったりすることがままあります。しかし、Sちゃんは6年生になっても「特待合格を目指します!」と宣言し、コツコツ勉強していました。ご両親から勉強するように言われたからそうしているのではありません。「漢字の勉強はやればやったぶん、結果が出るから楽しい」と言っていました。計算教材をコツコツやるのも同じ理由からです。「続けることで、自分に力がついているのを実感する。それが嬉しい」と言っていました。
かつての私のように、一度の成功体験で急激に学習観が変化する場合もありますし、Sちゃんのように日々の積み重ねで少しずつ自信がつき、「勉強って楽しい!」「自分もできる!」という気持ちが育っていく場合もあります。私が教育を仕事に選んだのは、こういう体験をたくさんの子どもたちに、なるべく早い段階で、たくさん経験してほしいと思ったからです。勉強を勉強だと感じない時期から「わかっちゃった!」「できちゃった!」の喜びをたくさん積み重ねることで、自信がつき、自然と学ぶこと、考えることが好きになります。
花まるでは毎回の授業で「わかっちゃった!」「できちゃった!」の体験を積み重ねて自信をつけ、お子さまの「得意!」「好き!」を増やしてまいります。それで得た自信は、きっと将来、お子さまの生きる力の源になると信じています。
花まる学習会 相澤めぐみ(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。