【花まるコラム】『がんばりたくなる、がんばり続けたくなる』佐藤達也

【花まるコラム】『がんばりたくなる、がんばり続けたくなる』佐藤達也

 暑い夏も終わりを迎え、間もなく秋。まだまだ残暑が厳しいですが、朝晩の涼しさを感じる日も増える季節の変わり目。そんな日々のなかで成長し続ける、子どもたちの教室での一コマをお伝えいたします。

 先日、国語大会(特別授業)を実施しました。大会では活躍した子どもにMVPシールを渡します。MVPに選ばれるのはチームで一人。子どもたちはMVPを目指して全力で取り組みます。今回の大会授業ではチームごとの子どもの人数を4人程度と少なくし、テーブルごとの講師をつけずにおこないました。同じチームの子どもたちで相談、協力し合うことが優勝のカギ。今回はいつも以上に子どもたちの協力が大切な大会でした。

 そんな国語大会で2年生のMくんは絶対にMVPを取りたいと思っていたのでしょう。私が話を始めるとMくんとぱっと目が合うことが何度もありました。実はいつものMくんは授業の途中で「これ難しいよ」「もう疲れちゃった」と弱音を吐くことがあり、集中力が切れ、目線が合わなくなることがあります。そんなMくんも今日は一味違い、90分間集中し続けていました。それに加え、まわりと話すことが好きなMくんは持ち前のコミュニケーション能力を活かし「これどうしようか」「こうすればいいんじゃない?」と声をかけ、チームのみんなと助けあっていたのです。こういった姿を見て、彼をMVPに選びました。強く願っていたMVPシールをもらった瞬間、Mくんは両手で力強くガッツポーズ。「今日は絶対にMVPをとるんだ」と心に決めて突き進む力強さに頼もしさを感じました。子どもたちにとってMVPシールは花まるでがんばった証。目標に向かって進み続けることができます。

 国語大会から1週間後。授業開始の挨拶をしようとするとMくんとぱっと目が合いました。「さすが! M、バッチリ目が合うね!」と声をかけると、「当たり前じゃん!」と返ってきました。話をしている人のほうをしっかり見ることはいつの間にかMくんの当たり前になっていたのです。それからも私が話をするときにMくんと目が合わないことはありません。ふと下を見ると、ファイルの上で輝くMVPシール。それを見るたびMくんはがんばったことを思い出すのでしょう。がんばった証のMVPシールは終わりではありません。それをきっかけにさらに大きな成長につながることもあるのです。思い返せば、私自身も子どもの頃にもらったメダルやトロフィーを見て、力をみなぎらせていました。「この前は1位を取れたんだ! だから今回もできる!」「また絶対とってやる!」と自分に発破をかけていたことを思い出しました。

 子どもたちが普段よりちょっぴりがんばってみたいと思える場所に花まるがあってほしい。子どもたちの笑顔はもちろんですが、子どもたちがいま自分にできることを考え、もがき、がんばり続ける姿にも、心を揺さぶられます。私はそんな子どもたちを称え、これからもMVPシールを渡したいと思います。そしてさらなる力を発揮できるように見守り続けていきます。次はどんながんばりを見られるのか。楽しみで仕方がありません。

花まる学習会 佐藤達也(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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