普段スーパーマーケットや八百屋さんで買っている野菜はどのように育つか、お子さまはご存知ですか?
家の前に当たり前のように田畑が広がっている時代ではないからこそ、食物を自らの手で栽培する経験は貴重です。
今回は、食育はもちろん、節約にもなる”家庭で土も肥料も使わず簡単に野菜を栽培できる方法”をご紹介します。
食育・節約には野菜の「水栽培(再生栽培)」がおすすめ!
水栽培とは、水だけで植物を育てる方法です。
手軽に始めることができるのは、スーパーマーケットなどで購入した野菜の根元を残して切り、水につけて栽培する再生栽培です。
水栽培できる野菜は、大根、にんじん、かぶ、玉ねぎ、青ねぎ、レタス、青梗菜、セロリ、小松菜、クレソン、ブロッコリースプラウト、豆苗など様々あります。
根菜は1㎝、葉物野菜は3㎝ほど残し、レタスは芯の部分を水につけると、葉や茎を伸ばします。
中でもご家庭での栽培におすすめなのは、栄養価が高い豆苗(とうみょう)です!
豆苗(とうみょう)は栄養たっぷり!
豆苗は、えんどう豆の若芽で、栄養価の高い緑黄色野菜です。
特に次の5つの栄養素を豊富に含んでいます。
(1)β-カロテン
βカロテンは強力な抗酸化(老化抑制)作用をもち、免疫機能・視力・皮膚等を正常に保つ働きがあります。
豆苗には、同じく栄養価が高いことで人気のブロッコリースプラウトの2倍以上、βカロテンが含まれています。
(2)ビタミンK
ビタミンKには、怪我をして出血したときの止血作用があります。
カルシウムが骨に沈着するときに必要なたんぱく質をサポートする働きもあり、丈夫な骨の形成や骨粗鬆症予防に役立ちます。
(3)葉酸
葉酸は、ビタミンB12と協力して赤血球のヘモグロビン合成や血液の生成をサポートします。
胎児や乳幼児の脳神経細胞を作り出すのにも必要です。
葉酸が不足すると、悪性貧血の原因となり、粘膜代謝も悪くなり口内炎や潰瘍など粘膜の異常が起こりやすくなります。
(4)食物繊維
豆苗には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。
不溶性食物繊維の方が多く含まれるため、便通が促され便秘の改善が期待できます。
腸内環境を整え毒素を排出し、デトックスにも役立ちます。
(5)ビタミンC, ビタミンA
豆苗には、ビタミンCがブルーベリーの約7倍含まれています。
ビタミンC、ビタミンA共に、抗酸化作用がありアンチエイジングに役立ちます。
豆苗の再生栽培方法
豆苗は、豆の部分から約2㎝上までを残し、根の部分を水につけます。
容器は少し深めの器やミニトマトなど野菜が入っていたプラスチック容器でも可能です。
水は毎日変え、ある程度育ったらキッチンばさみで切り収穫しましょう。
収穫までの目安は1週間ほど。
豆苗は日々成長の様子が分かりやすいので、ぜひこまめに観察してください。
親子で実践!豆苗レシピ
豆苗は、1年中スーパーで安く手に入ります。
皮をむかなくてよい・何回も切らなくてよいなど、下処理が簡単で、火もすぐ通るので料理の時短になる便利野菜です。
メニューによっては、千切りきゅうりやピーマンの代用にもなります。
たとえば、中華はるさめやチンジャオロースなどです。
他にもうどんやそばのつゆ、卵焼き、ポテトサラダなどにも入れられます。
何かに豆苗を混ぜる場合、子どもには細かく切ると食べやすいでしょう。
ツナと豆苗の炊き込みご飯
【材料】
- 米…… 3合
- 水……3.5合の目盛りまで
- ツナ(油漬け……1.5缶
- にんじん……1/2本
- 豆苗……1/2袋
- しょうゆ……大さじ2
- みりん……大さじ1
【作り方】
【1】お米をとぎ水につけておく
【2】にんじん・豆苗はみじん切りにし、ツナは油をきっておく
【3】炊飯器に水をきったお米、ニンジン、豆苗、ツナ、しょうゆ、みりんを入れる
【4】3.5合のメモリまで水を入れ、炊飯のスイッチを押す
豆苗の豚肉巻きロール
【材料】
- 豚肉バラ薄切り……10枚(豚肉は長いスライス状が望ましい)
- 豆苗……2/3袋
- えのき……1/2袋
- かにかまぼこ……5本
- スライスチーズ……4枚
- 水溶き片栗粉……少量
- 油……少々
<甘辛たれ>
- しょうゆ……小さじ1
- みりん……小さじ1
- 砂糖……小さじ1
- 水……30ml
【作り方】
【1】豆苗、えのきは10等分に分けておく。かにかまぼこは1本を2つにさき、スライスチーズは1枚を3等分(フィルムがついている状態でキッチンばさみで切ると切りやすい)する。肉を巻く用で10セット用意する。
【2】豚肉をひろげ、【1】を端からしっかり斜めに巻いていく。巻き終わりに接着剤として水溶き片栗粉を塗る。
【3】フライパンに適量油を熱し、②の巻き終わりを下にして弱火で焼く。3分程焼いたら裏返して蓋をし、3分程蒸し焼きにする。
【4】最後に甘辛たれをからめて少し焼く。子どもには4等分や6等分に切ると食べやすい。
豆苗の栽培を通して学べること
豆苗を家庭で育て、料理に活用することで、「野菜が育つ→収穫する→料理する→食べる」の一連の流れを知ることができます。
子どもにとっては、食べ物は生きている命を頂いているということ、また手をかけて栽培することを知る機会にもなります。
また、一緒に成長過程を観察することで、「昨日より大きくなっているね!」「葉っぱの数が増えているね!」などと子どもと一緒に変化を楽しむのもおすすめです。
自分が栽培した野菜を実際に食べることにより、野菜への興味を持ち、食べ物の大切さを感じるきっかけとして、ご家庭で取り組んでみてはいかがでしょうか。
管理栄養士として離乳食・幼児食・アレルギー食の調理、子どもに向けたクッキング等食育活動(0~5歳)、献立作成の経験あり。事業所内保育所、小学生・中学生夏季施設、社員食堂、レストランでの勤務経験をもつ。食べることが好きで、食べ物と体の関係について興味があり管理栄養士となる。自身も子育てをしている今、子どもの頃からの食習慣は大切と痛感。