【花まるコラム】『 文末の重要性を教えています』真島健一郎

【花まるコラム】『 文末の重要性を教えています』真島健一郎

 「最後までしっかりと読んで!」
 読解問題、文章題に関連して、生徒によくかける言葉の1つです。ただ、このような声かけをすればすぐに最後まで読むようになるものではなく、根気強く向き合う必要があります。
 6月に実施した小学生対象の花まる脳力テストでも、たとえば「どちらがなん円たかいでしょう?」と文章題の最後に書いてあるのに、ただ「20円」と答えてしまうケースは多かったです。「最後までしっかりと読んで!」と何人もの生徒に指導しました。
 このことは、年齢が解決してくれるものではないようです。中学生に教えていた頃を思い出しても、最後まで読まない子は一定数いました。
 先日、29歳の男性と仕事をした際に、私の期待していた仕事をしてくれなかったので、理由をたずねると、「依頼文を最後まで見ておりませんでした」という返答がありました。文章を途中まで読んだ時点で、「こうすればよい」と自己判断してしまったとのことでした。
 日本語は、文章の最後に大事なことが書かれている場合が多いです。一文においても、文末が重要です。生徒たちには、この事実をしっかりと伝えていかなければなりません。「最後までしっかりと読んで!」という指導を受け続けたことで改善された子はたくさんいます。
 会話においても、文末への意識を高める指導を続けています。たとえば「先生、鉛筆」と言われたら、「鉛筆のあとに続く言葉を最後まで言ってくれないと、先生にはわからないよ」という返答をしています。
 先日、4年生Aくんと勉強をしていた際にあったことです。子どもとお母さんの会話が成立するように、いくつかある会話文を順番に並べようという問題でした。Aくんは、子どもが「お母さん、牛乳」と言ったあとのお母さんの言葉を、どうしても選べませんでした。「お母さん、牛乳」という言葉に何の違和感もないため、「はい、牛乳だよ」や「牛乳、いまはないわ」という会話文(選択肢)がなく答えを出しようがなかったのです。この問題の答えは、「お母さんは牛乳じゃないわよ!」です。笑いが起きてもよいところですが、Aくんは、やはり悶々としていました。
 普段、単語だけの会話が成立しているのかもしれません。文末の重要性を認識する場面に身を置いたことがないのかもしれません。私が伝えていかなければと、身の引き締まる思いがしました。
 「お茶!」「スマホ!」わが家の日常です…。単語で会話が成立するのも、考えようによっては親子のよいところかもしれません。文末の大切さは学校や習い事の先生に教えてもらっていると、期待を抱いている私です…。

花まる学習会 真島健一郎(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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