【花まるコラム】『難しい?』松浦加奈

【花まるコラム】『難しい?』松浦加奈

 いつも仲よし2人組の2年生、RちゃんとAちゃん。毎回、肘がぶつかるくらいの近さで問題を解いているのですが、RちゃんがAちゃんのことをこのときはそっちのけで、黙々と鉛筆を動かしていました。何の問題を解いているのかと思い覗き込むと、立体図形を描いていました。Rちゃんが取り組んでいたのは、低学年クラスで扱っている思考力教材「なぞぺー」。「平面図形」「論理」「試行錯誤」「発見」、そして立体図形が含まれる「空間認識」の5分野があります。その日は2年生全員、立方体が3つつながっている形(低学年で使用する教具キューブキューブのA)を描いていました。

 まずは点線の立体図形を6個なぞり、そのあとは一から自分で描いていきます。それを20個ほどなぞぺーに描いたRちゃんは、そのページをじっと見つめていました。もうなぞぺーの問題は終わっています。最後のページにスペースは残っていません。でも、どこか満足していない様子でした。

 そこで私から「自分が持っているほかのキューブの形も描いてみる?」と提案すると、目を大きく見開いて、勢いよく鞄からキューブを取り出しました。スペースがもうないので、どこに描くのかとRちゃんを見ていると、なんと、なぞぺーの裏表紙に描き始めたのです。Rちゃんが夢中なっている姿を見て、隣に座っていたAちゃんも「なになに? 何してるのー? 私もやる!」と一緒にキューブを描くことに。あっという間に、2人のなぞぺーの裏表紙は立体図形で埋め尽くされました。

 立体図形は、ただ描いてみようと言われても、どこから手をつけていいのかわからない子が多いと思います。私自身がそうでした。しかし、RちゃんとAちゃんは、立体的な図形をすらすらと描くことができていました。どうしてそんなことができたと思いますか?

 2人が長い時間をかけて練習した、というわけではありません。見よう見まねで描くことも初めはできませんでした。ではなぜ、立体図形を描くことができるようになったのか…それには花まるならではの仕掛けがありました。それは、立方体をスムーズに書くことができる絵描き歌です。これを応用していくと、ほかの立体図形も描くことができます。

 私の教室では、年長クラスでもスペシャル問題として、その歌を一緒に歌い、立方体を描いていきます。さすが、耳から入った音を声に出して覚えることが得意な子どもたち。一度歌った絵描き歌を次の週には覚え、「もうわかるよ!」と歌っています。 

 そんな立方体のように、授業では一般的に難しそうと思われてしまうものも、わくわくと楽しめるように伝えていきたいと考えています。花まる独自の伝え方で子どもたちのやる気、意欲を引き出してまいります。もちろん、ご家庭での困りごとなどがありましたら、何なりとご相談ください! 一緒に楽しくできる方法を考えさせていただければと思います。

花まる学習会 松浦加奈(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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