【花まるコラム】『サマースクールでの成長』小池麻菜

【花まるコラム】『サマースクールでの成長』小池麻菜

 暑さが和らぎ、少しずつ秋が近づいてきていますね。
 今年もさまざまなドラマが生まれる熱い夏となりました。サマースクールでは、遊ぶときもごはんを食べるときも寝るときも、楽しいときも悲しいときも子どもたちとリーダー(野外体験では、スタッフのことを「先生」ではなく「リーダー」と呼んでいます)は一緒で、家族のように過ごします。リーダーとだけではなく、初めて会った子どもたち同士の絆が深まっていく時間となりました。

『成長』

 1年生Sちゃんのお母さまから、連絡帳にこんなメッセージをいただきました。

サマースクールではお世話になりました。行く前は行きたくないと半ベソをかいていた娘も、帰ってくると「また行きたい!来年の夏も絶対に行きたい!」と、もう来年のサマースクールに向けてやる気満々です(笑)。一つ大きく変わったことが。ベットメイキングを自分でやるようになったんです! 起きたらぐちゃぐちゃのまま学校に行っていた娘が…信じられません。本当に行かせてよかったです。

 ご家庭での成長に驚くとともに、教室でも目を見張るほどの変化を見せています。Sちゃんはお片付けが大の苦手でした。教室では、机のまわりにはテキストやプリントが、机の上には先ほどまで使っていたキューブやテキストが。そんな彼女がサマースクールを終え、真っ黒に日焼けし、サマースクールで作った紙飛行機を大事そうに持って教室にやってきました。そんなSちゃんの姿から「楽しかった!」という気持ちが伝わってきました。授業が始まろうとしたときのことでした。Sちゃんが「ぱなしはなしよ~片付けよ♪」と歌いながら鉛筆を筆箱にしまい、終えたプリントをカバンにしまい始めました。かわいらしい歌声とおもしろい歌詞に思わず「その歌は、なぁに?」と聞くと、「サマースクールで、だしっぱなし、やりっぱなし、あけっぱなし、脱ぎっぱなしはだめだよ! とリーダーがいつも言っていたから歌にしたんだ」とのこと。2泊3日を通して、身のまわりの整理整頓ができるようになってきました。

『おめでとう!』

 2年生Kくんは、食べ物の好き嫌いが多くなかなか完食することができずにいました。1日目の夜「お腹は空いているのに、おかずは食べられない!」と新潟のおいしい白米をモリモリ食べていました。そんななか、同じチームの1年生Nくんが嫌いな食べ物に挑戦。まわりの子どもたちも、Nくんに触発され嫌いなものにどんどん挑戦していきます。どうしても嫌いなものを食べることができずにいたKくんがぼそっとつぶやきました。
「僕も挑戦したいな…」
震える手でナスを口に運ぶKくんに周りの子どもたちも「頑張れ!」と心のなかでエールを送ります。ナスを口に入れると、眉間にしわを寄せなんとも言えない表情を浮かべていました。その成功体験により、Kくんは2日目も3日目も、嫌いな食べ物にたくさん挑戦することができました。 
 そんなKくんが解散場所の横浜駅について、お父さんを見つけて出た第一声は「嫌いな食べ物、なくなった!」でした。挑戦すること、成功体験を積むことができるサマースクール。Kくんにとって飛躍の2泊3日になりました。

 目に見える成長、目には見えない心の成長と、さまざまな成長をした子どもたちの姿を見ることができました。サマースクールに参加した子どもたち、おばあちゃんの家に行った子どもたち、公園やプールで遊びつくした子どもたち。それぞれの最高の思い出がたくさん詰まった夏休みが終わりました。

 教室での成長を今後も見守っていきたいと思います。2学期もどうぞよろしくお願いいたします。

花まる学習会 小池麻菜(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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