むずかしそう なぞぺーめいろ あっできた!
先日、小学生クラスで行った国語大会のゲーム「花まる川柳」で1年生が書いた作品です。今回のテーマは「花まる学習会」、リズムは五七五(字余り・字足らずもあり)で、好きなことを自由に書いてもらいました。
普段から作文を書くときには、「思ったことや感じたことを、そのまま書いていいよ」と子どもたちに伝えています。すぐに書き出す子もいれば、なかなか書き出せない子もいて、時間内で書き終わらないこともあります。今回の花まる川柳をみんなが書けるかなと少し不安なところもありましたが、それは杞憂に終わりました。
花まる川柳を書いている時間に、できあがった子どもたちの作品を読み上げていきました。
はこしまい さいこうきろく うれしいな
たんぽぽの けんていまいかい どきどきだ
サボテンで 3分切れない 悲しいな
すると数名から、「楽しいことだけじゃなくて、なんでもいいの?」と質問があがりました。ゲーム説明のときに、「嬉しい、楽しい、悲しい、大変なこと、なんでも自由に思ったことを書いていいよ」と伝えたのですが、それでも子どもたちのなかでは、「楽しいことや嬉しいこと、頑張ったことなどを書かないといけない」と思っている子が一定数います。悲しいことやできないことを書くのが恥ずかしいと思っている子もいるかもしれません。
しばらく子どもたちの様子を見ていると、書いては消してを繰り返している子、ひらめいたように一気に書いている子、言葉を選んでいて書けていない子もいましたが、どの子も楽しそうに笑顔でいることに気がつきました。高学年では以下のような、できないこと、不安に思っていることなども書いている子が増えました。
算数で 意味わからない 公約数
こわすぎる ヒットの前が こわすぎる
がんばろう いつも忘れる 宿題を
自分の思いに噓をつかず正直に表現できた嬉しさや、心のなかをさらけ出すことに気持ちよさを感じたからでしょう。低学年と同じく楽しそうにしており、すっきりとした表情をした子もいました。また、最後にチームの代表作品を決めるときも、作品を隠すことなく見せ合い、「そうそう!わかる!」などと、共感しながら選んでいました。
この様子を見て、私は内心とても嬉しく感動していました。学校だと友達に何か言われるのが恥ずかしい、馬鹿にされるからいやだと言って本音が出せないという話も聞きます。今回の国語大会を通して、教室が子どもたちにとって、素直に気持ちをさらけ出せる場になっていることを何よりも嬉しく感じました。
新しく学ぶことや、わからないことを理解することは、本来楽しさや嬉しさにつながっているはずです。それが成長とともに、物事を客観的に見ることができるようになり、恥ずかしく感じたり、〇〇でなければならない、できるはずがないといった固定概念が作られ、やる前から諦め挑戦することを避けるようになったりします。
計算や漢字、作文、文章題、図形問題などを、「自分は不得意だ」と感じている子もいます。それでも自分と向き合い、苦手なことから逃げずに挑戦し夢中になっている場面を教室で見かけます。それは私たちだけでなく子どもたち同士で声をかけ合ったり、お互いに頑張っている様子を見たりするなかで、やる気を高め合い、できない自分もさらけ出し、安心して目の前のことに集中できる場所をみんなで作り上げているからでしょう。
ご家庭では保護者のみなさまがわが子のすべてを無条件で受け止め、子どもたちにとって安心できる場になっていると思います。教室が保護者のみなさまや子どもたちにとって、いいときだけでなくすっきりしないことや困ったことがあったときも、受け止められる場になれたらと思っています。
花まる学習会 日下部龍(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。