【花まるコラム】『宝物が増えた!』廣木冴香

【花まるコラム】『宝物が増えた!』廣木冴香

 今年もサマースクールで子どもたちが成長する様子をたくさん見ることができました。2年生のYちゃんが初めて参加したのは、初参加の子ばかりのコース。バスに乗ったときはまだ緊張気味で、楽しみと不安が混ざった表情をしていました。彼女に今回のサマースクールの目標を聞くと、「友達をたくさん作りたい」「自分で髪の毛を洗えるようになりたい」「川で魚をつかまえたい」と、たくさん答えていました。少しずつ友達と打ち解けてきた頃、「私、昨日まではお母さんと離れたくなくて行きたくなかったけど、なんか一生の思い出になる気がする」と呟いていました。

 1日目、子どもたちが一番楽しみにしていた川遊び。初めて魚つかみに挑戦するという子が多く、悪戦苦闘しながらも必死にすいすいと泳ぎ回る魚を追いかけていました。始めは「魚、怖い!リーダーがつかまえて!」と言っていたYちゃんですが、友達が頑張る姿を見て「自分でつかまえられるかも」と勇気を出して挑戦します。「あそこに魚がいるよ!」「こうやって持つといいよ!」と友達からアドバイスをもらい、あきらめずに何度もチャレンジしました。そして見事、魚をつかまえることができたYちゃん。「魚ってぬるぬるしているんだね!」「背中がキラキラしていてきれい!」と新たな発見もありました。つかまえた魚は宿に帰ってからみんなで食べます。実は、Yちゃんは魚が好きではなく、これまであまり食べたことがないようでした。しかし、「自分でつかまえたから食べてみようかな…」と挑戦し、「魚、おいしかったね。ふわふわしてた!」と同じ班の友達と嬉しそうに話していました。Yちゃんはこの2泊3日で魚つかみだけでなく、髪の毛を自分で洗ったり、みんなで協力して布団敷きをしたり、たくさんの挑戦をしました。まわりのみんなの頑張っている姿を見て、「私も頑張ってみよう」という気持ちが湧き上がってきたのでしょう。帰りのバスで、「サマースクールは楽しかった?」と聞くと、「楽しかった!みんなと仲良くなれて宝物が増えた!次に来たらまたみんなと会えるかな?」と満面の笑みで話していました。

 サマースクールは親元を離れて生活するため、ときには寂しくなることもあります。しかし、仲間とともに勇気を出してさまざまなチャレンジをすることで、どんどんたくましくなっていくのです。自分ひとりだけではなく、まわりの仲間も勇気を出して頑張っている。そんな姿に刺激を受け「私も頑張ってみよう」と一歩踏み出す姿をたくさん見ました。Yちゃんは今回、再会したいと思える大切な仲間を得ることができました。「宝物が増えた!」その言葉がすべてだと私は思います。子どもたちには野外体験を通してそんな素敵な経験をしてもらいたいと思っています。

 次の野外体験は、冬の雪国スクールですね。子どもたちにとってどんな時間になるのでしょうか。いまからとても楽しみです。

アノネ音楽教室 廣木冴香(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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