子どもたちが待ちに待った夏休み。
遠くへ遊びに行かずとも、自宅や近所の公園でも子どもたちにとっては楽しめるものがたくさん転がっています。考え方ひとつで「最高に楽しみました!」と言える特別な夏になる可能性を秘めているのです。
今回は私が先月、公教育事業のひとつとしてある小学校の1年生の授業に参加させていただいた際のことをお話しさせていただきます。
生活の時間を使って、子どもたちが考えた夏らしい遊びを校庭や教室で行いました。元々決めていた遊びがそれぞれ班ごとにありましたが、水を使えばいつのまにか水かけに発展。校庭に出れば豊富な虫や花に興味津々。楽しいと思ったほうに子どもたちが自らどんどん突き進んでいきました。先生が最後に感想を聞いたところ出てくるのは「楽しかった!」という言葉ばかり。聞く人によっては「もう少し言葉が出てきてほしい」と思うかもしれません。ですが、私はそれでいいと思います。まずは子どもたちが楽しいと思うことを自分たちで発見できたことが大切だからです。「せっかく何時間もかけて遊びを考えたのに…準備したのに…片付けが…」とマイナスに考えるのではなく、目の前で遊びを進化させていくのが子どもたち。予定調和の「こうしよう」なんて考えは、「こうしたい」に敵うわけがありません。大人の私たちが「え?」と思うことも、子どもたちにとってはとても楽しい時間です。ペットボトルの中に何かを入れて振って音を出す。「これ、叩けば太鼓にもなる!」とほかの方法を試す。ペットボトルの中に水と花びらを入れ、振って色を出す。私たちは「振っても色は出ないのでは…」と思いますが、子どもたちは飛び跳ねながら振っていました。それを見たほかの子も、一緒に飛び跳ねていました。「色、出ないね…」「でもちょっと出てない!?」と些細な変化を見つけながら、遊び続けていました。校庭でも、何かを見つけると走り出す子、じーっと目線を落として生きものや植物を観察する子、薄暗い花壇の裏を探検する子…さまざまな子がいました。
「特別なところに行かないと楽しめない」と思ってしまってはもったいない、私はこの夏休みを、そう捉えています。そのことを子どもたちから教えてもらいました。
子どもたちは、大人とは見えている世界が違います。近所の公園でも、もうそこは無限の発見があるフィールド、そして子どもたちは遊びを生み出すクリエイターです。ぜひ、この夏は子どもたちのクリエイターぶりを観察する機会を増やしてみてはいかがでしょうか。「外遊び」を通じて、人生をよりよく生きるためのさまざまな経験を積むことができます。「どこでも楽しむことのできる人」になるため、自分たちで考える主体的な時間のなかで、創造力、発見力、集中力が育まれます。そこに今年の夏、ご家族との「つながり」が加われば、まさに特別な夏になることでしょう。
教室で子どもたちからどんなことをしたのか、聞けることを楽しみにしております。
花まる学習会 村井美月(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。