ワールドカップ2018、サッカー日本代表のコロンビアとのグループリーグ初戦、日本代表の勝利に感動しました。ここまで周囲から大きな期待を寄せられることなく、3戦全敗予想などとあきらめムードでスタートしたワールドカップはいままでなかったのではないかと思います。花まるの教室でも、前回2014年の大会時は日本代表のユニフォームを着た子どもたちであふれていたのですが(この教室でチームが作れるのではと思った日もありました)、今回は着ている子も少なく、日本全体で盛り上がりに欠けた様子。そんな雰囲気のなかの決戦当日、自分自身はテレビでやっぱり応援しようと思い、「絶対に見なければならない戦いがそこにある」などブツクサと心のなかでつぶやきながら授業後の片付けを全速力で行い、走って電車に乗り込み帰宅の途へ。電車のなかで試合開始となってしまったため、携帯電話の試合速報を連打していると、なんと開始早々、日本に貴重な先制点。何が何だかわからず、電車を降りてからは、選手さながらに猛ダッシュで家に帰りました。テレビの電源をすぐさま入れ、日本が本当にリードしている現実を受け止め、「勝てるかもしれない」と一気にボルテージが上がりました。と思った矢先、相手チームの得点で同点に追いつかれ、「自分がテレビをつけて見はじめたばっかりに…」と自己嫌悪の念に駆られる展開。そこからは、ハラハラドキドキの連続でしたが、見事勝利を手にした日本代表の戦いぶりに本当に感動しました(おじさんのワールドカップ観戦記みたいになってすみません…)。
長友選手の試合後のインタビューで、「いままで勝利した試合のなかで一番嬉しかった。8年越しの夢がかなった」という言葉が心に残っています。今回の勝利を目にして、自分自身強く感じたのは、誰もが予想すらしないことを成し遂げたときに得ることができる喜びや自信、またまわりからの驚きや賞賛は、本当に素晴らしいということ。子どもが予想外にできて喜ぶ姿に、こちらも「やればできるじゃん!」とえらく感動させられるときと似たような感覚でしょうか。
花まるの教室でも、予想外のことを成し遂げて、まわりからスポットライトを浴びて、その子自身の喜びや自信につながる瞬間が日々あります。最近、私の中で記憶に残っているのが、3年生のNくんです。Nくんは本をいつも肌身離さず持ち歩く大の読書好きで、どちらかというとおとなしくあまり前に出てこない子。そのNくんが読書で培った語彙力を生かして、先月行われた国語大会で、満場一致でMVPに選ばれる大活躍をしました。「出し尽くせ言葉王決定戦」というゲーム(提示された3~4文字の平仮名を組み合わせて、思いつく限りの単語を作っていくゲーム)で、Nくんが本領を発揮。チームのほかの子どもたちが悩むなか、大人でもなかなか思いつきそうにない単語を一人で次々と生み出していきました。普段はあまり前に出ようとしないNくんの予想外の輝きぶりに、チームの子どもたちから「天才がいる」「言葉の神様がいる」と大きな賞賛を浴びていました。大会後の表彰式でMVPシールを満面の笑みで受け取るNくんの姿と、まわりからの拍手をいまでも忘れることができません。
子どもたち全員にこのような経験をぜひしてほしいなと強く思います。何がきっかけでスポットライトを浴びるかは、人さまざまです。これからも子どもたちが脚光を浴びる瞬間を応援していきます(加えて、残りの日本代表の試合も全力で応援していきます。がんばれ日本)。
花まる学習会 春木満之(2018年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。