12月の末、 野外体験「本気であそべ!真冬の外遊び王国」を開催し、私も参加してきました。自分の教室の子どもたちは野外体験の現場でどんな姿を見せてくれるのだろうとワクワクしていましたが、さまざまな活動を通して見せる楽しそうな様子だけではなく、ごはんを食べる様子もかわいく思え、やはり私は子どもたちとかかわることが好きなのだと改めて実感しました。班の子どもたちの成長や頑張りを、活動のなかでたくさん感じられました。このコラムを書いていると班の子たちの顔が思い浮かび、「また会いたいな~」という気持ちになります。
野外体験中はさまざまな活動があったのですが、そのなかでも大盛り上がりとなったのは「サムライ合戦」。太ももに紙風船(命)をつけ、その紙風船をスポンジ製の剣で割り合います。今回は、大人も入れて100人ほどで戦う大規模な合戦でした。4つのチームに分かれて戦ったのですが、いざ戦いが始まるとものすごい迫力です。まずは2チームでの対決。50人が一斉に走り出すとところどころで戦いが始まります。いざ相手を目の前にすると笑顔が消え、自然と真剣なサムライの表情に。紙風船を割られたら即退場。大人の私でも恐怖心や緊張感がありました。いたるところから勇気を出すための雄叫びや、命を割られてしまった子の悔しそうな声、仲間を応援する声が聞こえます。勝つこともあれば負けることもある。決着がつくたびに本気で喜んだり、本気で悔しがったり、全員が楽しんでいることが伝わりました。
一旦、お昼休憩のために宿に向かっている時のことです。
「ねぇファルコン(私のリーダーネーム)、どうしたらファルコンみたいに相手に向かっていけるかな。向かっていきたいけれど怖いんだ」1年生のAくんが私に話しました。
「確かに、怖いよね。ファルコンも怖いんだよ。だから、ファルコンはやればできる!って思って戦ってるんだ。自分ならできる!って。Aくんなら絶対できるよ」そうあと押ししました。
1年生の子には少し難しいことを伝えてしまったかもしれませんが、Aくんは真剣な表情で「うん!」と言いました。お昼ごはんを食べ、再び戦場へ。合戦が始まると子どもたちが入り乱れてしまうので、Aくんの様子は少ししか見られませんでしたが、勇気が出たかどうかはその後の作文に書いてありました。
「ぼくは、サムライ合戦をしたときに怖くて、戦いにいけませんでした。でも、リーダーが帰り道でやればできる!と言ってくれて、その通りに相手に向かっていったら、相手の風船を割ることができました。勇気が出て、戦えて、とても楽しかったです」
Aくんはやればできる!と自分を鼓舞して立ち向かうことができました。怖くて戦えないという壁を越え、楽しいという経験にできたのです。
かかわる大人の言葉はよくも悪くも子どもに多くの影響を与えます。よく聞くのは、「お母さんがこう言っていたから」「先生がこう言っていたから」という言葉です。子どもたちは我々が思っている以上に言葉を聞いています。そしてそれが価値観となっていきます。だからこそ、子どもたちにかける言葉はマイナスな言葉ではなく「やればできる!」というような前向きな言葉にしよう。そう思います。
花まる学習会 北丸隼己(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。