【花まるコラム】『笑顔の魔法』奥西裕希

【花まるコラム】『笑顔の魔法』奥西裕希

 オンライン授業が明け、先日久しぶりの対面授業を行いました。約一か月半のオンライン開催となり、たくさんのご協力をいただいた保護者のみなさまには感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

 幼稚園教室での、久しぶりの対面授業。授業準備のため、机を取りに行こうと思い園庭へ足を踏み出すと、「先生だ!」と年中・年長コースに通っているほとんどの子が駆け寄ってきました。オンライン授業に参加してくれていた子がほとんどでしたが、「久しぶり!」「会いたかったよ」と。まるでアイドルになったような気分。私もオンライン授業で顔を合わせているのに「みんな、久しぶり!」と思わず声をかけてしまいました。

 そんな私が日々大事にしていること。それは「笑顔」です。どんなにつらいことや、どんなに厳しいことが待っていようと、「笑う」ということは決してなくさないよう毎日を過ごしています。笑うことでつらいことを忘れ、幸せな気持ちになる、そう思っているからです。教室でも子どもたちが笑顔だとまわりの子どもたち、講師、教室長が自然と笑顔になります。さらには、私たちが笑顔でいると子どもたちも自然と笑顔になります。
 笑顔のまわりには笑顔が広がる。これは一種の魔法だと思っています。

 私が「笑顔」を大事にしている理由はほかにもあります。それは児童養護施設で出会った職員さんにもらった言葉からです。

 5歳から12歳まで児童養護施設で暮らした私。楽しいこともつらいことも数知れず。そんな私が施設を離れる際に職員さんから言われたこと。それは「どんなときでも笑顔を忘れないんだよ」でした。

 退所の日は、いつもと変わらない朝を迎えて身支度をしていました。職員さんたちと何気ない会話をしていると、一人の女性職員さんが私と話しながら涙を流しました。その方は、私が入所した幼稚園時代から小学生の間、ずっと私の成長をそばで見続けてくださった方でした。私が「どうしたの?」と聞くと、「何でもない」の一言。当時の私は別れというものに違和感を覚えておらず、なぜ泣いているのだろうとさえ思っていました。そして、別れのとき、母親の車に乗る前に大勢の施設の職員さんが見送ってくださいました。その一人ひとりと握手をし、会話を交わした私。そんなときに言われた言葉、それが「どんなときでも笑顔を忘れないんだよ」でした。小学6年生だった私。そのときの光景や言葉はいまでも鮮明に覚えています。そのときから、私はつらいことがあったとしても笑顔は忘れない、そう胸に誓いました。

 子どもたちにはこれからもたくさんの試練が待っていることでしょう。そんなつらいときにこそ「クスッ」と笑えるような話をしてあげたいと思います。

花まる学習会 奥西裕希(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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