文字を書くことが好きな年長クラスのAちゃん。教室に到着して準備を済ませると、いつも「かっくんチャレンジ!」と題し、私がホワイトボードに書いた文字をテキストに書き写しています。Aちゃんは「はやく書いて!はやく!」といった様子で、毎回その時間を楽しみにしているようでした。
「もっとやりたい!」と思うものがあれば「ちょっといやだな」と思うものもあるようです。Aちゃんは「ひまわり」(年長コースのテキスト)のなかにある、積み木数えの問題に少し苦手意識があるようでした。というのも、4月当初は「次はみんなの得意な積み木数え!」というと「えー…」と、「苦手なんだよなぁ」と言わんばかりのちょっといやそうな声を出していたのです。この問題は、絵に描かれた積み木は全部で何個かを数えるものです。積み木が横に並んでいるだけならパッと見ただけですぐにわかるのですが、回を追うごとに見えない部分も想像しないとすべてを数えることができない問題が増えていきます。Aちゃんは見えない部分を数えることが苦手なようでした。
しかし、何か月かチャレンジしているうちにだんだん数えるスピードが速くなり、正答率も上がってきました。特にそれを感じたのが年の明けた1月です。数える様子を見ていると、「縦に積まれているところを順番に数えていく」と自分自身で基準をつくって数えていました。だんだんとできるようになってきたからか、最近ではそのページを開いても「いやだな」という表情や声を出さずに、「これか~!」とやってみよう!という意識のある声のトーンに変わってきました。「できた!」という体験をたくさん積むことで、気持ちの変化が生まれるのだなと実感しました。
小学生コースでは、年に3回の花まる漢字テストを行っています。70点以上が合格、96点以上が特待合格です。それぞれ表彰状をもらえるのですが、特待合格は大きな表彰状をもらうことができます。子どもたちは合格もうれしそうですが、やはり特待合格でもらえる大きな賞状に目を輝かせています。
2年生のBくん、1学期の花まる漢字テストではあと一歩届かず惜しくも不合格に終わってしまいました。本人はそれが悔しく、家でたくさん勉強をしたそうです。花まる漢字テスト当日には、いままで勉強したプリント類をどっさりと教室に持ってきてくれました。花漢の時期が近づくと、まいにち花まるのページから練習のためのサンプル問題をダウンロードすることができます。自分自身で行う漢字の書き取りの勉強に加え、サンプル問題も併用して勉強に取り組んでいました。
たくさんの準備をして迎えた2学期の花まる漢字テスト。Bくんは無事に合格することができました。しかし、返却されたテストを見たBくんの表情は少し曇っていました。それもそのはず、頑張って勉強したものの、目標としていた特待合格には手が届かなかったのです。きっと悔しかったのでしょう。Bくんから届いた年賀状には、「花かん100点めざします」と意気込みが書かれていました。
そして迎えた3学期の花まる漢字テスト。「たくさん勉強してきた?」と聞くと、「うん」と言っていました。採点をしてみると、答案用紙には書いては消して書いては消してた跡があり、「何とかして思い出そう!書いてみよう!」という強い気持ちが表れていました。
結果は惜しくも特待合格にあと一歩、というところでした。しかし、1学期からの伸びはもちろん、2学期からの伸びにも目を見張るものがありました。コツコツと続けていくと最後には結果になるということをBくんも実感したのではないでしょうか。次の花まる漢字テストも力いっぱい頑張ってね、とエールを送りました。
短期間では大きな結果として目に見えなかったとしても、子どもたちは毎回少しずつ成長しています。学年の終わりである3月、少しずつ頑張ってきた成果が見えてくる頃ではないでしょうか。そんなこどもたちの変化をこれからも見守り続けてまいります。
花まる学習会 溝部祥子(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。