【花まるコラム】『入口を知れば、その先は自分で進める』山根大知

【花まるコラム】『入口を知れば、その先は自分で進める』山根大知

 年末におこなわれた雪国スクールでは、子どもたちと雪遊びをしてきました。参加したのは、年長から小学3年生までの子どもたち。広い雪原に、ふわふわの新雪。子どもたちにとって貴重な経験となったのではないかと感じています。そこで出会った二人の女の子が今回のキーパーソンです。バスで出発し、新潟へ向かう車内。出発してほどなく意気投合したのが、年長のSちゃんとHちゃんでした。二人はバスのなかでも笑顔が絶えることなく、雪国スクールを楽しみにしていたことが伺えました。関越道に入る少し前からうっすらと雪が見えはじめ、いよいよ関越道を抜けると雪の量が一気に増えます。雪景色を見た子どもたちのテンションも急上昇!SちゃんとHちゃんは「すごいね!私、こんなにたくさんの雪初めて見た!」「真っ白でおもちみたいだね」「おいしそう!」と話をしていました。

 宿に到着し、待ちに待った雪遊びの時間。雪像を作るコンテストが始まりました。SちゃんとHちゃんの班は話し合いの結果、「かまくら」を作ることになりました。雪を掘ったり、集めたり、各々自分の役割を一生懸命こなしていました。二人は、班のみんなが集めてきた雪を固める係です。はじめは手で押していたのですが、ふわふわの新雪はうまく固まりません。そこへ、2年生の女の子がやってきて二人に言いました。「ちょっと固くなった雪をくっつけるといいよ!」それを聞いた二人は、自分の足元にあった、踏まれて少し固くなった雪を掘り、くっつけ始めました。するとみるみる「かまくら」の外観ができあがっていきました。完成が近づき、集まってきたみんなは、「いいかまくらができたね!」「よしっ!もっとまわりをきれいにしよう!」と女の子ならではの装飾に凝り始めました。雪を固める方法を覚えたSちゃんとHちゃんも、一生懸命ミニ雪だるまなどを作っています。そして遂に完成した「かまくら」(豪華な装飾付き)の前で、記念写真を撮りました。みんな満面の笑みを浮かべていました。

 翌日も朝から雪遊びです。この日はバスで移動して初日よりもさらに広い場所へとやってきました。自由遊びの時間、思い思いに子どもたちは遊んでいます。雪合戦、雪だるま作り、ソリ滑り、落とし穴作りなど。SちゃんとHちゃんは同じ班の小学生のお姉さんと一緒に雪像コンテスト第2ラウンドを始めていました。今回は小さなシャベルを使って、固まった雪を掘り、雪像を作ろうとしていました。昨日の遊びで実体験として覚えたことは、二人のなかにしっかりと残っていたのです。そのあとは、みんなで雪玉積みが始まりました。ただただ雪の玉をどこまで高く積めるか、という遊びです。まん丸の雪玉を積もうと頑張ってはいるのですが、球体をそう何段も積むことはできず、すぐに崩れてしまいます。そこで私は子どもたちに「雪玉の底と上を少し削って平らにしてみたらどう?」と言いました。すると一心不乱に雪玉を両手で擦り、平たくし始めました。遊ぶことに対する子どもたちの吸収力の高さにはいつも驚かされます。あっという間に11段の雪玉タワーができあがりました。

 遊びも勉強も同じです。大人は時に「何でこんなことができないのだろう?」と考えてしまうことがあります。しかし、子どもたちは「できない」のではなく、やり方を「知らない」ことがほとんどです。経験の入口となる部分はきちんと丁寧に教えてあげることが大切です。たとえば、2年生のかけ算、3年生のかけ算の筆算なども同じです。できていることと、できていないことを明確にし、できていない場面では寄り添い、一緒に問題に向き合います。今後もお子さまの成長の一助となるようサポートしてまいります。

花まる学習会 山根大知(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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