「今つっかえたところ、あと10回弾きなさい」
「えー!10回も…?」
同じ作業を何度も繰り返すことは、子どもにとって辛いこと。
嫌々演奏するため、回数をこなしても上達しない悪循環に陥ってしまいます。
もちろん、楽器を上達するにのに経験量を確保することは不可欠ですが、本当に美しい音を奏でるには「考えて弾く」ことが大切です。
今回は、親子でできる「考える」練習法をご紹介します。
楽器の「演奏回数」を基準にした練習方法では上達しない!?
お母さんにとっては回数で練習させるのが一番シンプルでわかりやすいので、「弾けないところを10回弾いて」という練習方法はスタンダードになりがちです。
実際には、何も考えないで反復練習をすれば一定の技術的な課題はクリアできるので、子どももお母さんも曲が弾けたような気になってしまいます。
しかし「無意識に反復すること」と「考えて反復すること」で、でき上がった曲は結果としてまったく違うのです。
より美しい音楽を演奏できるようになるのは「提案型」練習法
では、子どもに考えて練習をさせるには、どうしたら良いでしょうか。
これには、子どもに対する「質問」を取り入れることが効果的です。
たとえば2パターンの音色を聴かせ、子ども自身にどちらが良いかを判断させてみます。
こうしたことは、考える練習のきっかけになります。
お母さんが楽器を演奏できなければ、歌を歌ってあげてもいいと思います。
携帯電話などで動画を撮って見直してもいいですし、CDを聴いて聴き比べてもいいと思います。
どちらが美しいかを子どもにチョイスさせることで、子ども自身が主体的に「美しい音色って何だろう」と考えるクセがつきます。
さらに言葉にして、その美しさの理由を説明できれば素晴らしいですね。
そこまでいかなくても、なんとなく良い音色ってこういう感じ、というのを子どもにつかませるだけでもいいのです。
また、すぐに答えさせずに、考え続けさせるという機会を与えるのもいいでしょう。
よりよくする方法を考え前の自分と比べることが、楽器上達の近道
楽器のレッスン現場では、自分の演奏を聴かせて、理由も言わずに「こういう風にしなさい」と押し付けるだけの先生がいます。
それでは、ただ言われるままに演奏し、なぜこの曲がそういう風になっているのか考えない子どもに育ってしまいます。
そういった子は、美しい音を弾いてと言われれば、ある程度の再現はできるようになるでしょうが、それ以上にはなりません。
「考えて」演奏する方法を知らないので、自分から音楽的な演奏を生み出すことができないのです。
「どういうふうにしたらより美しく奏でることができるか」という視点で考え、前回より良い音が出たかという視点で練習を進めましょう。
ただ10回弾き続けるよりも、1回目より2回目、2回目よりも3回目とよりよくしていった方が、結果として練習回数も少なく済み、お母さんにとっても子どもにとっても充実した練習時間になるはずです。
やらされるのではなく、よりよくするための工夫を見つけていく。
親子で切磋琢磨しながら音楽に向き合う時間は、一生の思い出になりそうですね。
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