【花まるコラム】『相手を想う、あたたかさ』加藤崇彰

【花まるコラム】『相手を想う、あたたかさ』加藤崇彰

 先日、花まるオンライン教室の低学年コースでコミュニケーション大会(特別授業)をおこないました。花まるオンライン教室は、全国どこからでも参加できることが特徴のひとつで、私の教室に通う子どもたちも16都道府県から参加しています。自宅にいながら全国の友達とつながることができる、教室の新たなカタチがここにあると感じています。だからこそ、子どもたちには双方向のコミュニケーションを通して、オンラインでつながった全国の友達と“本当の友達”になってほしいと思っています。
 そのためには、まずお互いを知ることです。そこで、今回のコミュニケーション大会では、都道府県クイズや「私の推しプレゼン会」(自己PRプレゼン)、ジェスチャーゲームなどを行い、子どもたち同士の交流を図りました。
 「私の推しプレゼン大会」では、好きなことや得意なこと、自分の住んでいる地域の紹介など、みんなに伝えたいと思ったことを自由に考え、発表してもらいました。地元の遊園地の乗り物を種類別に分けて大きな紙に貼った発表、「水無月」という6月に食べる和菓子を実物とともに見せる発表、カメの研究について紙芝居形式での発表、バイオリンやピアノの演奏、方言紹介、きょうだい紹介など、子どもたちの発表はどれも熱がこもっていました。
 プレゼン大会は、まずは3チームに分かれてそれぞれに発表を行い、プレゼンの仕方が工夫されていたか、聞き手の心が動かされたプレゼン発表だったかどうかという視点で各チームから2名ずつ選出し、全体での共有時間をとりました。順番に共有していくなかで、BチームからはSちゃんが選ばれました。すると、Bチームの同じメンバーから「Sは本当にすごかったよね!」「これ一番すごかったと思う!!」「めちゃくちゃやばかった!」「うんうん!すごかった!」「びっくりしたよね~!」と、Sちゃんに対する承認のシャワーが降り注がれました。オンライン上の空間がふわっとあたたかい空気に包まれ、何とも心地よい時間が流れました。そして、私自身の気持ちも高揚しました。

 オンライン教室が本格的にスタートした2020年の9月頃は、オンラインで全員が一斉に話をすると声が聞こえなくなってしまい、教室長の声を届けることができなくなるという観点から、子どもたちはミュートに設定して授業に参加し、発言するときのみミュートを解除するという方法を取っていました。しかしこの方法では私一人の独演状態になることが多く、“双方向”からは程遠い“一方通行”の授業になっているように感じていました。そこで、「先生が話をしているときは、聞く時間」というルールを設け、授業中は基本的にミュート解除で参加してもらうようにしました。最近では、場を和ませる合いの手を入れて友達を笑わせたり、相手を想って「○○ちゃん、大丈夫?いまここをやっているよ」と励ます声かけがあったり、教室にいるみんなでひとつの授業を創り上げていく、そんな一体感が生まれ始めていると感じています。
 人は、ひとりでは生きていけません。私は花まる学習会の無人島プロジェクトを担当しているのですが、無人島でひとり作業をしていると、それを強く感じる瞬間がたくさんあります。自分ひとりでできることは限られていて、やはり「人」の存在は心を穏やかにさせてくれます。今回のコミュニケーション大会での一場面は、そんなお互いを想い合い支え合う「人」のあたたかさにあふれていて、それを感じた瞬間に、この教室から“本当の友達”ができるのもそう遠くないなと思いました。
 私自身もこのオンライン教室でいただいたご縁を大切に、みなさまのお子さまと一生の関係を築いていけるよう、日々精進し、向き合ってまいります。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

花まる学習会 加藤崇彰(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

花まるコラムカテゴリの最新記事