【花まるコラム】『どんなときも笑顔で』秦野達也

【花まるコラム】『どんなときも笑顔で』秦野達也

 激動の時代。“避難訓練”として開催したオンライン授業へのご協力をいただきまして、本当にありがとうございました。なかなか授業の様子を見ていただく機会がないなか、子どもたちが楽しんでいる様子を、子どもたちのエネルギーを、間近でご覧いただけたのではないでしょうか。
 オンライン授業をしていて驚かされるのは、子どもたちの適応能力の高さ。与えられた環境でいかに楽しむか、という姿勢にこちらが刺激をもらった時間でした。

 年長クラスの子どもたちは、画面に映る友達を見つけて「おーい!」と笑顔で手を振っていました。「Sくん見える?」「Rちゃん!こっちだよ!」マスクを取った友達の顔を見ることができ、オンライン上でつながっているという特別感も相まって、授業前からイキイキとした表情を見せていました。

 5年生のKくん。Zoomの背景を自分の写真に設定し、笑いを誘っていました。それにつられるように、まわりの子たちも遊び始めました。背景を変えたり、名前の表記を変更したり。直接会っているわけではないけれど、いかに目の前にいる人を笑顔にできるか。「さすが!モテる人に成長しているね!」と心からの賛辞を送った瞬間でした。(もちろん、授業のときにはグッと集中し、メリハリをつけて取り組んでいました。)

 大人の我々は、当たり前にできていたことができなくなり「制限をかけてしまってかわいそう…」「もっと思い切り遊ばせてあげたい … 」と思うこともあります。けれど子どもたちを見ていると、マイナスなことばかりではないな、と思えるのです。
 与えられた環境で、決められたルールのなかでいかに楽しむことができるか。大人になってからも大切な捉え方だと感じます。「いままでは思いつかなかった○○ができるじゃん!」「新しい分野に力を注げるね!」プラスに捉えて前向きに進んでいる人を見ていると、私も力をもらえて笑顔になります。

 オンライン授業がきっかけとなりましたが、ふと思い返すと、子どもたちはどんなときも笑顔で、「こうやってみたらおもしろんじゃない?」とアイデアを生み出す天才ばかり。目の前のことに興味を持ち、とにかく「やってみよう!」と手を動かしてみる。そんなパワーに溢れています。

 先日おこなった年中コースの特別授業は「“石”と身のまわりにあるもので遊ぶ」というテーマでした。水を入れた紙コップに石を入れて遊んでいたTくん。「うわぁ!石の色が変わった!」「見て!水が増えるよ!」とさまざまな発見を楽しんでいました。子どもは、大人が思いつかないような遊び方で、自分のなかにある知的好奇心を満たしていきます。

 これから先、どのような変化が訪れるのか予想がつきません。ただ、いかなる場合でも「楽しもう!」とその状況を前向きに捉えることができる力は、自身の人生を、周りの人と過ごすかけがえのない時間を、より豊かで彩りのあるものに変えるのだろうと思います。

花まる学習会 秦野達也(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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