9月下旬。遠く離れた広島県より、一通の手紙ともみじ饅頭が届きました。それは、3月まで私が担当していたオンライン教室に通うAくんのお母さまからでした。
先生、お元気ですか?Aの母です。短い期間でしたが、本当にお世話になりました。コロナの影響、引っ越しも重なりバタバタとしてしまい…。気づいたらこんな時期になってしまいました。しばらくは広島市内の小学校も休校が続いていました。休校期間中、なかなか学習に身が入らないAでしたが、花まるでの、先生方の元気いっぱい、愛情いっぱいの授業と、手厚いフォローのおかげで前向きに集中して学ぶ楽しさを味わえました。また、偶然にも先生が大学時代に広島に住んでいたことも伺い、遠く離れた都会の塾だと思っていた花まるがぐっと身近に感じられました。
私は自粛期間も含め、どうしても眉間にしわが寄ってしまっていました。なんでもよく見えてしまうから、ちょっとしたことでイライラが募ってしまい、つい気づくと眉間にしわが…。でも先生たちは違いました。目尻にしわが寄っていて、子どもを見守ることの大切さに気づかせてもらえたと思っています。先生が変わってしまったのはすごく寂しいですが、いまも目尻にしわを寄せて、B先生が見てくれています。Aも花まるでがんばっていきます。どうか引き続き、Aのことを見守っていてくださいね。
目尻にしわを――。素敵な、Aくんのお母さまらしい表現だなと思うと同時に、そんなところを見てくださっていたのか、と嬉しい気持ちで胸がいっぱいになりました。週に一度の授業で、思いきり自己表現をし、それを認められる経験が、子どもたちを大きく成長させます。
先日、会員のみなさま向けの保護者会を開催いたしました。お子さまと過ごす日々のなかで、眉間にしわが寄ってしまう場面もあるかもしれません。実際、保護者会内で実施した「お悩み共有タイム」では、靴下を脱ぎっぱなしのわが子にイライラしてしまう、宿題をいつまでもやらないわが子にイライラしてしまう、ごはんを食べるのが遅すぎるわが子にイライラしてしまう…など多くの意見が出ました。
いいところに目を向ける。一年365日、そのほとんどをわが子と一緒に過ごす「親」にとって、これは口で言うほど簡単なことではありませんね。
だからこそ――。花まるが存在する意義があります。一週間に一度、「自分」を認めてくれる環境がある、「ありのまま」を言葉にして伝えてくれる場所がある。ご家族からもらうプラスのシャワーには到底かないませんが、きっと私たちの言葉も子どもたちの心に届いていると信じています。
幼少期の子どもたちの心はスライムのように柔らかい。だからこそ、「いまこの瞬間」の積み重ねで如何様にも変えていけます。ご家庭だけでもなければ、花まるだけでもない。ご家庭と連携を図り、お互いに足らない部分を補い合いながらお子さまのこころを育てていきたいと思っております。
目尻にしわを。一日に一度でも、一週間に一度でも構いません。ふとした時にぜひ思い出してみてください。少し日常に彩りが加わるかもしれません。
花まる学習会 小林駿平(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。