先日、年長Aちゃんのお母さまとの面談中、お子さまのとあるエピソードを伺いました。それは、Aちゃんが住む地域のコロナ陽性者が5人にまで減り、また、菅前総理大臣が辞任するというニュースが流れたときのことでした。
Aちゃんは、そのニュースを見るや否や、菅さんにお手紙を書くと言い出しました。
すがさんへ すがさん そうりだいじんおつかれさまでした。すがさんのおかげでコロナが5にんになりました。がんばってくれてありがとう。いつもげんきですごしてね。 Aより
Aちゃんの純粋な想いが書き綴られた手紙は、無事に菅さんのもとに届き、菅さんからお返事が返ってきたそうです。
前略 Aちゃん、お手紙ありがとうございます。あたたまるお手紙に力をもらいました。内閣総理大臣として一年、みんなの命と暮らしを守りぬくとのおもいで、新型コロナ対策に全力で取りくんできました。みんなのご協力のおかげで、新型コロナの感染者は大きく減りました。本当にありがとうございます。日本の未来をになうAちゃんやお友だちが、ゆめときぼうを持ってくらせるように、これからも国づくりに全力で取りくんでまいります。Aちゃんも、べんきょうやあそびにはげみ、お元気でお過ごしください。お礼のお手紙です。ありがとうございました。草々 菅義偉
「子どもって感謝する気持ちをいっぱいもっているんだなって教わったんです。毎日が当たり前すぎて、菅さんに感謝する気持ちなんて忘れてしまっていました」とお母さまはおっしゃっていました。
多くの人が自分の見えないところで考え、行動してくれているからこそ、いまこうして生きることができている。毎日が当たり前のように訪れ、日々を忙しなく過ごしていると、「感謝する」ということを忘れ、つい「幸せ」を追い求めてしまっているな、と今回のお話を伺いながら、自分の胸に手を当てました。
「しあわせ」という言葉を辞書で調べると、主に二つの意味が載っています。
しあわせ【幸せ/仕合わせ/倖せ】
1. 運がよいこと。また、そのさま。幸福。幸運。
2. めぐり合わせ。運命。
「しあわせ」と聞くと、真っ先に浮かぶ漢字は「幸せ」ですが、「しあわせ」の語源は、「しあわせる(為る+合わせる)」の名詞形として生まれたそうです。本来は「めぐり合わせ」の意味で、「しあわせが良い(めぐり合わせが良い)」「しあわせが悪い(めぐり合わせが悪い)」というように用いられていました。つまり、良いことも悪いことも、すべて含めて「しあわせ」。それがいつしか、「しあわせ」のみで「幸運」を表すようになり、「幸」の字が当てられて「幸せ」と表記するようになったそうです。
「幸せ」を求めるあまり、どこかに置いてきてしまった「仕合わせ」。
日々の生活が当たり前すぎて、そして平和という「幸せ」に囲まれたなかで生活を送っていると、目の前に広がる「しあわせ」が、つい自分一人で成し得たものであると錯覚し、それが当たり前になってしまっているな、と反省しました。どんなことであっても、そこには必ず私以外の誰かがいて、おかげ様のなかで、いまを生きることができている。改めて、日々目の前で起きていることが当たり前ではないのだな、と想いを馳せる機会となりました。
今年も、オンライン教室ではいろいろなドラマがありました。子どもたちが発する言葉に一喜一憂し、ハッとさせられ、私自身が多くのことを学びました。このしあわせには感謝しかありません。一年間、ありがとうございました。毎週子どもたちと授業が行えるというしあわせに感謝しています。また来年も、どうぞよろしくお願いいたします。
花まる学習会 加藤崇彰(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。