【花まるコラム】『髪、切った?』植田雅也

【花まるコラム】『髪、切った?』植田雅也

 2021年を迎え、あっという間に1か月が経とうとしています。関東平野でも雪マークが出始め、冬の本番も迫ってきました。一方で、春先とも言えるような暖かな日もあり、より一層体調管理に気をつけなければ…と思っております。どうかみなさまもご自愛ください。

 2020年、“今年の漢字”に選ばれたのは、「密」。コロナに翻弄された1年だったということで、応募した10人に1人はこの字を書いたそうです。いまとなってマイナスのイメージがついていますが、子どもたちへの声掛け、コミュニケーションは密に取っていきたいと考えています。年末にみなさまにお時間をいただき、ご挨拶の電話をしました。
 印象的だったのは、子どもとの電話です。顔が見えないぶん、緊張して「うん」しか言わない子、「やだ!出たくない!」と電話の向こうで拒んでいる子、ついさっきまで公園で遊んでいたのか、ゼェゼェ息を切らしている子(なんだか申し訳ない気持ちにもなりました。笑)などさまざまでしたが、教室とは違った一面を知ることができました。1年生のKくんに「よいお年をお迎えください」と伝えたところ、即「うん!」と返ってきました。きっとよい2021年を迎えられたことと思います。
 年末はそんな過ごし方をして、2020年を締めくくりました。不安なことはたくさんあるけれど、いつも通り、子どもたちが安心できる教室で、みんなを迎え入れよう。そう心に決め、2021年の授業がスタート。電話越しには一言もしゃべらなかったAくんの「あけましておめでとう!」という元気な声を聞くことができたり、とても手のかかる2年生Hくんから「今年もよろしくお願いします!」とお辞儀をされたりして「調子いいんだから~」と思いながらも、「まぁ、いつもそうだよな」と思い、なぜか安心。ほっとして新年の授業に臨むことができました。

 数日前の授業で、1年生のAちゃんに「そういえば、植田先生、(年末に)私に電話したとき、どこにいたの?」と質問をされました。当然在宅でしたので、「家から電話したよ」と伝えると「え~!そうなの~!」となんだか嬉しそう。たった5分の電話でも、“私にかけてくれた”ことが嬉しかったのでしょう。そのときのことをよく覚えていて、いろいろと想像しているんだろうなと解釈しています。改めて、子どもとのコミュニケーションは、“1対1”が大事!とAちゃんに教わりました。

 花まる学習会には、「1・1・1(いち・いち・いち)」という文化があります。「1日に1人につき1つ発見して声をかける」というものです。「お、Aちゃん、今日の靴、新しいね!似合っているよ」「Bくん、半袖で寒くないの!?元気だね!」というふうに、いつも見ているよというメッセージをこめて、声をかけています。授業が始まる直前に、3年生のRちゃんの元に駆け寄り、「R、英検合格おめでとう!」と声をかけました。実は数か月前に受けた英検で、見事合格したことをお母様に教えていただき、そのことを毎回褒めているのです。Rは「今日もきっと英検のことだよ、もうヤダ~」と言いながらニヤニヤ。お約束通り「英検合格おめでとう!」と言うと、くすぐられたかのように喜んでいるのです。その様子を見て、子どもたちにとって、花まるがひとつの居場所になればいいなと思うのです。別の日。1年生のYちゃんに「Yちゃん、髪を切った?」と声をかけました。するとYちゃん、きりっと私を見て「気づくの、遅い!」とばっさり。2021年も、子どもたちが私を成長させてくれる、そんな年になりそうです。

花まる学習会 植田雅也(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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