今どうしてる?卒業生物語 【No.11】今村秀一朗さん

今どうしてる?卒業生物語 【No.11】今村秀一朗さん

花まる学習会・スクールFC卒業生のその後に迫るインタビュー企画!
第11弾は、200名を超える仲間(学生)を集めて群馬県にゼロから城を築いた、伝説の卒業生にインタビュー!

ようこそ先輩! 今村秀一朗さん
【花まる学習会・ 花まるアルゴ 】南浦和教室 (~小2)
        * 担当教室長:Rin(井岡由実)・鈴木和明
【スクールFC】南浦和校・ 北浦和校(小3~)
        特算・スーパー算数
【進路】 東京学芸大学附属早中学校→東京学芸大学附属高校→慶應義塾大学 (経済学部)
【現在】会社員

 


■花まる・アルゴでの思い出
高濱 花まるの授業で、印象に残っていることは?
今村 やっぱり1番は、なぞぺーですね。「勉強させられるもの」と思わなかったことがすごくよかったです。花まるでは、間違えた問題に「×」ではなく「☆」マークをつけてくれるから、正解・不正解を気にせずもう少し考えてみようと前向きに取り組めました。
高濱 おぉ~、そんな言葉が聞けるとは。とにかく落ち着きがなくて、そんなことを考えている子には見えなかったよ。
今村 「ちょっと、いまは静かにして!」と、注意された記憶もあります。あの花まるの教室でそれを言われるのだから、相当だったんですね。
高濱 お母さんはものすごく秀一朗のことを心配していたんだよ。「こんなんで大丈夫ですか?」って。本人は知らなかったみたいだけれど。
今村 何も知らずに、ハッピーに生きていました(笑)
高濱 野外体験はどうだった?
今村 3年生のときのサマースクールで、伊江島に行って、それが中学受験しようと思ったきっかけになりました。班のなかで僕が一番年下で、先輩が全員受験したんです。
高濱 そうだったのか。
今村 僕は長男で、いとこも年下だったから、自分が年下の状況は初めてで。たくさんかわいがってもらって、受験の世界を教えてもらいました。
高濱 異学年・友達なしの班編成だからこそ実現する、先輩の姿が影響を与える例だね。
今村 高校生になってリーダーとしてもサマースクールに参加させていただいて、また違うおもしろさがありました。
高濱 リーダーとして野外体験の現場に戻ってくると、子どもたちはかわいいし、参加していた頃と違った学びがあるよね。仕事を覚えながら、自分がしてもらってきたことをやれるからいいんだよな。
今村 本当にいい経験でした。
高濱 アルゴクラブのことは、覚えている?
今村 花まるとの出合いは、アルゴでした。最初は嫌で、「行きたくなくても、1回だけは行け」と親に言われてしぶしぶ行くことになったんです。でも、行ってみたらおもしろくて、その日の帰りに本屋さんに寄ってアルゴゲームを買ってもらいました。
高濱 意外とハマったんだ。
今村 すぐにハマりました。アルゴゲームは授業だけでなく家でもやっていたし、いまでも机の引き出しのすぐに取り出せるところに入っています。
高濱 秀一朗はいつでも楽しそうだったもんな。
今村 楽しかったです。勉強嫌いにならなかった、その土台を築けたことは、本当によかったです。
高濱 秀一朗には花まるがぴったり合っていたんだな。学校では、どうだったの?
今村 学校では、むしろ勉強ができるほうでした。花まるの先生が子どもたち一人ひとりのところにまわって教えてくれるみたいに、小学校では僕がうろちょろしてみんなに勉強を教えていました。
高濱 先生役みたいな?
今村 はい。先生公認の先生役、みたいな。小学生の頃はそういう感じでした。


高濱 花まるに通ったことで役に立ったことはありますか?
今村 “工夫して何かをしようとする力”がついたと思います。なぞぺーでテキストに書かれていない部分を考え抜いたから、そういう思考や試行錯誤が日常でもできるようになって。それがいま、建築に役立っていると思います。専門的な道具を買うと高くついちゃうけれど、手作りでどうにかできないか、みたいに。
高濱 秀一朗は経済学部だよね?
今村 はい。建築は趣味です。
高濱 趣味、いいね!リアルな学びだな。学生たちを集めて実現させた「琴辻城築城計画」についても、あとでゆっくり聞かせてよ。

■FCでの思い出と、中学受験
高濱 FCでのことは、覚えている?
今村 一番覚えているのはスー算(スーパー算数)です。誰よりもはやく解いてやろう、負けないぞと思っていました。間違っても怒られないし、過程をみてもらえたことがとてもよかったです。
高濱 スー算は厳しいから、おもしろかったと言えるのは、すばらしいよ。
今村 誰でも参加できるクラスではないので、身が引き締まる思いもありました。仲のいい友達が落ちたこともあって、自分はここで頑張らなきゃと思えました。
高濱 あの頃の仲間とはまだつながっているの?
今村 はい。毎年飲んだりする仲です。
高濱 いやいや、いい話だな。中学受験はどうだった?
今村 私立の武蔵中学校に行きたかったのですが、落ちて国立の竹早中学校に行きました。
高濱 結果的には、竹早のほうが秀一朗に合っていたんじゃない?
今村 そうですね。武蔵に通っていたら、本当に一匹狼の暴れ馬になっていただろうなと思いますね。
高濱 国立の枠のなかに収まったんだ。
今村 トゲが少し丸くなったかなと思います(笑)

■仲間を集めて立ち上げた「築城計画」
高濱 お城を作っているあれ、すごいイケてると思うんだよね。
今村 ありがとうございます!
高濱 中学や高校の仲間とやっているの?
今村 最初はそうでした。友達が友達を呼んで広がって、いまはSNSの力も借りて200名以上、いろんな子が参加してくれています。
高濱 すごいよな~。
今村 実は、花まるに原点がありまして。中学・高校で東京に行ってみたら、東京生まれ・東京育ちで虫も触ったことがない、自然を見たことがない人がたくさんいました。おこがましいんですけれど、僕が花まるで見てきた無限に広がる自然を知らないのだと思って、どういうところか知ってもらおうじゃないですけれど、たまたま家が所有していた山の土地を一緒に開拓しようという話になったんです。
高濱 ちょうどいま、新しい学力やこれからの学校についての議論が盛んだけれど、「プロジェクトベーストラーニング」っていう、プロジェクトを通してチームワークや構想力、問題解決力などを育む学習の在り方も注目されていて、「秀一朗の築城は、まさにこれをやっている!」って思ったんだよ。どうやって思いついたの?
今村 もともと僕は自然が好きで、建築も好きで、一人でやろうと思っていました。でも僕は2年間の浪人時代も経験したので、「人は一人ではできないな」と感じたんです。いろんな人とつながることが大事で、それをかたちにできたらいいなと思いました。「お城」と言うと少し語弊もありますが…(笑)
高濱 倉庫くらいの感じだよね(笑)でも、全部を専門家じゃなくて、学生の仲間たちだけで作っているんでしょ?
今村 そうです。建築が得意な子や、土木が得意な子、法律が得意な子など…みんなで知識を出し合って、ということをやりたかったんです。
高濱 クオリティもすごいし、“巻き込み力”もすごいよね。まだ建物はあるんでしょ?
今村 はい。これからさらに広げていこうと思っています。堀を作る計画も進んでいます。大切なのは完成することじゃなくて、作り続けることなので。
高濱 すごいな。あの秀一朗とは思えない(笑)
今村 あははは(笑)たとえば僕が「うちの別荘に来ない?」と言っても、これだけたくさんの仲間は集まらないと思うんです。でも、一緒に何かをつくろうというわくわく感があって、その利益をみんなでシェアすることで、実現できました。
高濱 秀一朗は卒業するし…次のリーダーは決まっているの?
今村 後継者は5人くらい決まっています。僕が出て行ってからも、来た子にはキャンプ場として自由に使っていいよと言っています。
高濱 学生たち中心で、引き継いでいるんだ。
今村 おもしろいのは、築城には学歴なんて関係ないので、東大生が泥んこになってシャベルを持って作業をしていたり、中卒の消防士が「おい、お前!」と指示出しをしていたりと、みんながフラットな関係性を築けていることです。
高濱 いや~、いいよね。どうして、そんな仲間を集められる自分になれたと思う?考える力だけではなく、営業力というか、口説く力がある?
今村 人がおもしろいと思うものを掴む力…ですかね。人の、おもしろいと感じることへの原動力はすごいと感じています。実は、築城を進めるなかで「お前がやっていることは労働力の搾取だ」と言われたことがあって、確かになと思ってみんなに聞いてみたんです。そうしたら、そこにお金(対価)が発生すると「労働」になるけれど、ここでは好きで楽しくてやっているからそうではないと言ってくれて。
高濱 みんな、おもしろがってやっているということだよな。
今村 どうしたらその人が楽しめるかを考えて行動した結果、たまたま周りに恵まれてきたんだと思います。
高濱 建築って、ちょっとかかわると「俺が作った」っていう感覚になる。それを味わえるようにしたのはでかいな。
今村 そうなんです。間違えてあけた釘穴もわざと残して、「○年前にあいつがやったんだよ」と共有したり、かかわってくれた人の名前を残したりしています。
高濱 うまいことやっているなぁ。むちゃくちゃ広がるんじゃないか、このやり方。流行っちゃったりして(笑)これからもお城は作り続けるんだね。頑張って!俺も絶対に見に行くよ。
今村 ありがとうございます!

■母の愛
高濱 秀一朗にとって、お母さんはどんな存在?
今村 人に迷惑をかけることだけは、というか、自分がされて嫌なことだけは絶対にしてはいけないと言われていましたが、法と道徳と倫理に反しない限り、やりたいことは何でもやらせてくれました。決して裕福ではありませんでしたが、心理的な裕福さはありました。
高濱 心の豊かさだね。
今村 はい。でも正直、小さい頃は自分が何をやりたいかなんてわからなかったです。だから母はいろんなことをやらせてくれて、そのなかで僕がやれると思ったことを続けさせてくれました。サッカー、剣道、花まるなど…
高濱 剣道も続けられたものの一つなんだね。
今村 はい。小・中・高と続けていました。
高濱 これかぁ。背筋というか、大幹がしっかりしていると思ったんだよ。
今村 そういう人はだいたい武道をやっていますよね。
高濱 立ち方でわかるよな。いや~、お母さんは相当悩んでいたけれど、親の心子知らずだよな。
今村 本当にそうですよね(笑)母は、僕の前ではそういう姿を見せなかったのかもしれません。

■これからのこと
高濱 独立して何かを始めようと考えているの?
今村 まずは企業に就職して、組織の古き、よき、悪しき文化を色々知ってからじゃないと独立はできないと思っています。
高濱 いい経験になるよ。
今村 大阪の企業への就職が決まったので、関西の文化も経験してきます。
高濱 関西には、シドニー(鈴木和明)がいるよ。
今村 そうですよね!心強いです。そう遠くない高知にはRin先生がいますし、久しぶりにお会いしたいです。
高濱 それにしても、秀一朗はものすごく多大な経験とつながりで力をつけているよな。
今村 僕は恵まれすぎたと思うんですよ。いまの親のもとに生まれて花まるにも通えたからこうやって成長できた。もらってばかりなので、今度は自分が人にあげなきゃいけないと思っています。まずは企業への貢献から。
高濱 本当に、立派になっちゃって。応援しています!
今村 ありがとうございます!

 

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