私には3つ離れた弟がいるのですが、小学生のとき弟に「これ(親切)って何て読むの?」と聞かれました。私は自信満々に「おやぎりだよ!」と答えました。それを聞いていた両親、祖父母は大爆笑。私はみんながなぜ笑っているのか分かりませんでした。のちにそれは「しんせつ」と読むことを知ったのです…。
なぜこの話を思い出したのかというと、教室で4年生のKちゃんが「なんで親切って“親を切る”って書くんだろう…」とつぶやいているのを聞いたからです。
そこで、みんなで一緒に調べることにしたのですが、ただ調べるだけではおもしろくない!と思い、「予想をしてから来週までに各自調べよう」と約束をしました。
予想タイム。「親は親(した)しいと読むから、親しい人との縁を切らないようにやさしく接しようという意味かな?」「親は裏切るな!っていう強いメッセージがあるのかも?」など、様々な考えが出てきました。子どもたちの意見を聞いているだけでもおもしろかったですし、「早く親切の漢字の由来を知りたい!」とうずうずしている様子を見て、学ぶことに必要なのは「心が動かされること」だと感じました。
次の週の授業にて。教室に入ってくるなり、「先生!わかったよ!」と言葉調べノートを見せてくる子どもたち。全員で漢字の由来を発表することにしました。
「実は『親切』の“親”は、“親しい、身近に接する”という意味です。『親切』の“切”は、“心から”“ひたすら強く”といった意味があります。“切に願う”といったように使いますよネ。そんなところから『親切』という漢字には、“より親しい”という想いが込められています。」
出典:「親切」はどうして“親を切る”と書くの?/ニッポン放送
「親を切るわけではないんだね」
「昔の人と“切”の捉え方が違うんだ」
「他にもこういう漢字あるかもよ!?」
自分で調べてきたことで、知識が深められ、他のことにも興味がわいたようです。
その日の授業は漢字の由来を知りスッキリした気持ちと、またみんなで調べられるかもというワクワク感で始まりました。
学びの中には疑問があります。「なぜこうなるの?」と思った瞬間がチャンス。調べることで知識が深まることはもちろんですが、さらに新しい疑問に出合うかもしれません。
「学びは一生」という言葉をよく聞きますが、子どもたちの姿を見てその通りだと思いました。「ワクワク感」を忘れずに学び続けていきたいものです。
花まる学習会 古川凜(2021年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員のみなさまにお渡ししています。