【花まる教室長コラム】『親友のつくりかた』北澤優太 2019年10月

【花まる教室長コラム】『親友のつくりかた』北澤優太 2019年10月

 今年の夏も、たくさんの出会いがありました。
 2年生の女の子Aちゃん。2日目の夜、みんなと離れた場所でシクシクと泣いていました。聞くと、一緒に過ごしている班の仲間と上手くいかないことがあった様子。何気ない一言で喧嘩になったり、班の中にグループができ始めていたり。「解決してすっきりしたいけど、私にはどうしたらいいかわからない…。」彼女は悩みを話し始めました。
「友だちは簡単にできるよ。だって毎年サマーに来てるから。友だちの作り方は知ってる。『お名前なぁに?なにが好きなの?』って話しかければいいんでしょ。でも…学校の友だちに比べると、また会いたいって思えないの。」
 かわいい悩みだなと思いました。同時に、頭の良い子だなと思いました。

 サマースクールを終えて帰るまで、彼女に残された時間はあと1日半。その時間をどう過ごすか。どう過ごしたいか。彼女の挑戦が始まりました。
 私から彼女に伝えたことはひとつだけ。友だちと親友の違い。それは、心をひらくことができるかどうか。素直に心を込めて伝えれば、気持ちは必ず伝わる。けれども、Aちゃん自身がまだシャッターを閉めていれば、その壁は決して越えることができない。

 そこからの彼女は、葛藤しつつもよく頑張ったと心から思います。
 3日目。食堂などで顔を合わせるたび、目配せをして「頑張るよ」とうなずきます。夕方には「友だちできたよ!」と嬉しそうに話していました。けれどもその後、お風呂の中では「うまくいかないー!アニマルに謝らなきゃー!」と泣いたそうです。
 いろいろな想いが入り混じり、葛藤もしながら…。彼女のサマースクールは、ついに終わりを迎えました。彼女にとって、この3日間はどのような日々だったのでしょうか。楽しめたかな?納得できるものだったのかな?親友はできたのかな?
 その答えは、彼女の心の中にのみあります。けれど、結果によらず、いずれにせよたくさん考え、悩み、経験した数日間には違いないでしょう。

 今年の夏、最後のコースでのことです。8人の女の子班。一見仲は良さそう。けれども、班の中で少しずつグループができ始めているとのこと。行動がゆっくりな低学年の子たちが置いていかれ気味になり、高学年のメンバー主導で活動が進んでいました。
 2日目夜の、お楽しみ会発表前。準備はどうか聞くと、順調だと言います。班全員が前向きな気持ちで出来ているかを聞くと、彼女たちは言葉に詰まりました。「それは、ちょっと…。」思い当たる節がありそうです。そのうえで彼女たちに、この4日間をどう過ごしたいか。残り2日間で班のメンバーとどうなって帰りたいのかを問いました。長い沈黙の後、全員がそれぞれ自分の言葉で「仲良くなって、笑顔で帰りたい」と答えました。
 そこで私は、数週間前に会ったAちゃんの話をしました。友だちの作り方は上手だったこと。親友の作り方について2人で考えたこと。それをもとに最後の日まで諦めず努力したこと。4日間、何気なく過ごすこともできるけれど、どうなりたいか強く想って過ごせば状況は変わること。
 すると突然、6年生の女の子が泣き始めました。
「私はいつも、想いを言葉にできない。怖い…。でも…このチャンスに、変わりたいと思う。」
 そして迎えた最終日。彼女にインタビューをしてみました。その言葉をそのまま載せると、「言葉遣いや接し方が変わった。キツくなくなった。わかんないときはピリピリしちゃってたけど、それもみんなで変わった。低学年のTちゃんも、できないときは『手伝って』と言えるようになった。嫌なことは嫌ってちゃんと言える、親友になれた」とのことでした。彼女たちなりに消化して、結果につなげたようでした。

 いつかAちゃんに再会したとき、伝えたいことがあります。あなたの一言で、あなたの頑張りで、勇気を、ヒントをもらって頑張れた人がいるということ。
 どんな顔で聞くのだろう。喜んでくれるかな。自信を持ってくれるかな。想像しながら、いつか彼女と再会する日を心待ちにしています。

花まる学習会 北澤優太


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それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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