<つまらない!自由研究>
梅崎の講演会は、自身が小学生のときの自由研究のエピソードから始まりました。
同じ植物を太陽に当てたもの、当てないものと用意し、成長を記録して、最終的には太陽があたっているほうが早く成長したというもの。
自由研究という提出物をこなすには十分な内容ではありますが、なんともおもしろくない。「正解」がある勉強しか教えない学校では、自由研究のやり方など教えてはくれなかったのです。
その後、流体力学の「研究者」となった梅崎ですが、学問の世界を変えるには、学びの最初のほうから関わるのが大事ではないかと考え、教育の世界に転身しました。
<小さな研究者を育てるには>
研究とは、実は本人もワクワク知的好奇心にあふれて取り組み、それを聞いた人もワクワクするもの。そんな価値のある「研究」を実現するには、どんなポイントが必要なのでしょう?
\POINT1/ 研究は楽しく!
ー研究を楽しむ要素は、情報の扱い方にあり!
何かを伝えたいと思い、何かを伝えるという動き、すべてひっくるめて「情報」。内容だけではないのです。
「どう伝える?」「どう興味を持たせる?」を考え、受け手に考えさせ、それから納得させる、笑わせる。リアクションもモチベーションになります。
情報を豊かにして、扱い方を工夫することで、相手への届き方は大きく変わります。
最初の自由研究だって、タイトルの工夫、伝え方の工夫でもっと価値のある情報になったはずです。どうすればおもしろくなったか…?そこまで考えてみるのもおもしろそうですね。
実際、梅崎が大人になってから知人に頼まれて中学生の自由研究にアドバイスしたところ、最初は円周率をたくさん書いてみた、というだけだった自由研究が見違えるようになり、「世界一おもしろい円周率の話」として県大会まで進んだそうです。
\POINT2/ 研究のための4つのススメ
1 記録のススメ
伝えたいものをノート、日記、作文、写真、アプリなどに記録を残すことで、格段に伝えやすくなります。その際、「言葉を正しく使う」ことも大事です。言葉を正しく使うことで理解が深まります。
2 !と?のススメ
「?」(疑問)で引き寄せて、「!」(納得)で締める。または、「!」で引き寄せて、「?」を生み出す。たとえ大人が知っていても、「試問」ではなくて「疑問」にして一緒に考えて楽しんでみましょう。
3 完遂のススメ
最後まで(他人に伝えきるところまで)やりきる。実は自由研究で大事なのは結果それ自体ではなくて、なぜ始めたのか?最後までやってどうだったか?という取り組みのプロセス。そのために、大人は子どもが話していることを途中で遮らずに最後まで「聞ききる」ことが大切です。
4 夢と野望のススメ
自分の興味があることをつきつめてほしい!
ちなみに、梅崎の夢は、研究者・情報技術者=暗い・わからないというイメージを払拭し、「むちゃくちゃおもしろい!」話ができる研究者を育てたいとのことでした。
<おわりに>
質疑応答では、「子ども自ら問いが生まれるようになるために親にできることは?」「味噌汁がこぼれているのを見て、なんで広がっていくの?と聞かれたときにどう探究を促せるか」「子どもがインターネットで調べ物をしたときに、正しい情報かどうかをどう判断したらいいか」など、具体的な質問に梅崎が現場での経験をもとにお答えしました。
梅崎が接している小学生たちの思わず笑ってしまうエピソードもたくさん紹介。日々の中で「小さな研究者」を育てるヒントが満載の講演会でした。
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【梅﨑 隆義(うめざき たかよし)】
花まるグループ 情報システム部部長/花まる学習会教室長/スクールFC算数科
船舶流体力学の研究機関に在職中、「知を広げるのは、子ども時代の学びがカギを握る」と感じ教育の世界へ。花まる学習会・スクールFCの授業にて、年中から中学受験生まで、幅広い年齢層の子どもの指導を担当。「ハサミの使い方から難関受験まで、お任せください!」
著書に『思考力を鍛える算数脳サプリ』(朝日新聞出版)、『スゴイ!三角定規つき三角パズル』(エッセンシャル出版社)。