今年もサマースクールに行ってきました。私が担当している教室の子にも会うことができ、一生懸命頑張っている姿、楽しそうな姿に元気をもらいました。
そのなかで2泊3日の「夏休み港町大作戦」というコースで班リーダーをしたときのことです。このコースでは、1,000円のおこづかいを持って千葉県南部で町探検やお買い物をします。お金を使えるのは、初日と2日目の探検の間だけ。おこづかいは自分が納得できればどんな使い方をしてもOKです。
初日、久里浜港で昼食を取ったあと、班ごとに久里浜の探検をしました。私たちの班はまずお土産を見に行きました。1年生のAちゃんはキーホルダー売り場で立ち止まり、「これ買ってもいい?」とピンクのクラゲのようなキーホルダーを私に見せました。「なんで、これを買おうと思ったの? 自分がこれを買って満足できるならいいと思うよ!」と伝えると、「かわいいから!」と言って迷わずレジへ行きました。キーホルダーは600円ほどでした。
レジで買い終えると出口の近くでガチャガチャを見つけ、「これやっていい?」と指をさして言いました。まだ、初日の探検スタートから20分程度しか経っていません。
私「自分が良ければやってもいいけれど、明日のほうがもっと大きなお土産屋さんもあるから今日使ってしまったらもう明日は何も買えないよ」
Aちゃん「そこにもガチャガチャあるかな?」
私「わからないけれど…もしかしたらあるんじゃないかな」
Aちゃん「じゃあ、いまはやめる」
そして初日は、みんなでコンビニでアイスを買って終了しました。
次の日もAちゃんは探検に行く前から「今日、ガチャガチャできるかな?」とずっと言っていました。お土産屋さんに行きガチャガチャを見つけると「これをやる!」と言っていましたが、そのガチャガチャは400円。Aちゃんの残金は300円程度だったので足りません。
高学年の子たちが「Aちゃんはいま300円持っていて、これは400円だから100円足りないね。こっちなら200円だからできるよ」と教えてあげます。Aちゃんはガチャガチャの前でしばらく悩んでいました。 そして、私のほうへ来て「ガチャガチャをやりたいけれど、これは欲しいガチャガチャじゃない。いつか捨てちゃうと思うからやっぱりやめる」と言いました。
初日からずっとやりたがっていたガチャガチャ。Aちゃんはきっとすごく悩んだと思います。やらないという決断をするのに、私はもちろん班の子もアドバイスはしていません。Aちゃん自身で決めたことです。だから、Aちゃんには迷いがありませんでした。
残ったお金は駄菓子とバラ売りのお土産のお菓子を買うのに使いました。そして、高学年の子たちが家族へお土産を買っている姿を見ていたAちゃんは「これはね、お母さんと半分ずつ食べるの」と言いました。
1日目は自分のやりたいこと、欲しいものにお金を使おう! という考えだったAちゃん。それが2日目には、先のことを考えて、自分のためだけでなく、人のためにお金を使う決断をすることができました。この短い期間でこんなにも視野を広げたAちゃんに、私は心を動かされました。
子どもたちにとっては、3日間家族と離れて過ごすというだけでも勇気のいることです。成長したのはAちゃんだけではありません。解散場所で家族と再会したときには、みんなとても大人びた顔をしていました。
Aちゃんは「また行きたい!」と笑顔で帰っていきました。また、来年さらにお姉さんになったAちゃんと会えるといいなといまから楽しみにしています。
花まる学習会 小倉百華(2023年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。