今月のはじめ、まだ暑さが本格的でなかった時期に、草むしりをする機会がありました。実家がマンションだったこともあり、草むしりの経験がほとんどなかった私にとって新鮮な体験でした。
まず、同じ庭でも場所によって土の硬さが全然違うことに驚きました。草が抜けやすい場所とそうではない場所があり、慣れるまでは根っこを残して抜いてしまうこともしばしば。力加減を調節したり、まわりの土をほぐしてから抜いたりと試行錯誤の連続でした。ようやくコツをつかんできたところに、ほかの人からある道具を渡されました。それはスコップサイズのくわのようなもので、これを使えば簡単に抜けるというのです。新兵器の登場に「これが文明の利器か!」なんてワクワクしながら使っていると、使い方が違うと言われました。この道具の正しい使い方は、根っこのまわりの土をほぐす、というものだったのですが、私は根っこを直接ガシガシと攻撃してしまっていたのでした。教えられた通りに使ってみると、驚くほど簡単に抜くことができました。まだまだ知らないことがたくさんあると痛感したと同時に、初めてのことっておもしろい! と改めて感じたできごとでした。
キューブキューブ(低学年コースで扱う立体教具)の時間、私はいつも冒頭に少し遊びを入れています。ブロックをできるだけ高く積む「高積みチャレンジ」、段を作っていく「階段チャレンジ」、窓(穴)をたくさん作る「窓づくりチャレンジ」など。この時間の子どもたちの熱中具合は見ていて気持ちがよくなるほどです。私も時々一緒に取り組みますが、意外とうまくいかず時間を忘れて熱中しそうになることも。ただ、3年生にもなると「簡単だよ」という子もいます。そんな子には、少しアレンジを加えてチャレンジしてもらっています。
先日、ある教室でおこなった高積みチャレンジでのことです。開始15秒ほどで「できた!」と声が上がりました。見ると誇らしげな顔をした3年生のAちゃんの前に、19段(最大の高さ)まで積まれたキューブが。あまりの早さに驚きつつ、「じゃあ今度は片手でやってみよう」と伝えました。ほかの子に何度か言ったことはありましたが、Aちゃんにとっては初めてのことです。「え~?」と言いながらも、できたものを崩してまた積み上げはじめました。少し不安げな様子ではじめは慎重に、徐々にコツをつかんでくると少し大胆に。一度は崩れたものの、時間をかけながらも見事片手で19段まで積むことができました。「すごいじゃん!」と声をかけると、「できるかなーって思ったけど、やってみたらできた!」と笑みを浮かべていました。
大なり小なり、初めての体験ってドキドキしますよね。一歩踏み出すのにドキドキすることも、挑戦してみてすぐにはうまくいかないこともあるけれど、踏み出してみると新しい、素敵な世界が待っていることが多いです。これから夏休み。ちょっと踏み出してみるには絶好の機会です。夏休みを経て、たくさんの経験をした子どもたちとまた会えるのを楽しみにしています。
花まる学習会 清岡悠河(2023年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。