【花まるコラム】『子どものこころが動いた瞬間』小池麻菜

【花まるコラム】『子どものこころが動いた瞬間』小池麻菜

 子どもたちの「おもしろい!」「うわ~、何それ」と心が動いた瞬間を保護者のみなさまにご紹介したいと思います。

■「はやっ!」初めて出会うことばに興味をもつ
 年中さんのNくんと『乗り物図鑑』を見ていたときのことです。新幹線のかっこよさに目を奪われているNくん。「この新幹線、かっこいいね!」「こっちはさっき見ていた車両よりとんがっていて蛇みたい」と大興奮です。
 一緒に図鑑を見ながら、文字を読むことがまだ難しいNくんに代わって、私が一つひとつ新幹線の情報を伝えていくと、「時速」ということばを聞いて、Nくんが「時速って速さのこと? 時速150㎞とこの新幹線の時速180kmだったらどっちが速いってこと?」と質問をしてきました。私が、「1時間に走る距離を表しているんだよ。数字が大きくなるほど1時間で遠くまで行けるっていることだから、速いってことだね!」と伝えると、Nくんは「よ~っし!この新幹線と同じくらいのスピードで走るね!」と教室を全速力で1周。戻ってきたNくんに「いまの走りで時速5㎞くらいかな」と伝えると、「新幹線ってどんだけ速いんだ~~~」と新喜劇のようなずっこけを披露。そんなNくんの姿がなんともかわいらしかったです。「時速」ということばと初めて出合った瞬間の表情、そして時速180㎞がどれだけ速いかを知ったときの目を見開いた表情こそが、新しいことを学ぶ楽しさを表していると感じました。

■カブトムシの角
 年長クラスでは、先日、マジカルスティックとう教具を使用したマッチ棒パズルに挑戦しました。「3」から1本動かして、「5」にしてみようというような問題にチャレンジしました。
 その際に、マジカルスティックを使い自由に作品づくりをする時間もとりました。30本という限られたスティックを使い、子どもたちはおのおの好きなようにつくり上げていきます。チューリップの花をつくった子やバスをつくり上げた子、迷路をつくってみた子もいました。
 そんななか、「カブトムシ」をつくった子(Sくん)がいました。カブトムシといえば一本の長い角が特徴的ですが、その子のカブトムシには、長い角のほかにも二本の角が。
 クラスの仲間から、「それじゃあクワガタみたいじゃない? カブトムシには一本しか角はないよ!」と言われると、Sくんは、「一本じゃないよ! 長い角の下のところに二本に見える小さい角が生えているんだよ!」と得意げにクラスの仲間に伝えます。私も小さな角なんて生えていたかな~と疑問に思い、図鑑で調べてみると、確かにありました。子どもたちに見せると、「うわ~~~、本当だ! 知らなかった!」「Sすごいっ! ぼくもカブトムシを飼っているけど、気にしたことなかった!」と大盛り上がり。
 初めて知った知識やSくんが虫博士であることを授業後、興奮気味にお母さんに報告する子どもたちの姿が印象的でした。

 子どもたちの「初めて知ることば」や「初めて知ること」に出合う瞬間に立ち会えることの喜びを感じながら、今後も子どもたちに学ぶ楽しさを提供してまいります。

花まる学習会  小池麻菜(2023年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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