【花まるコラム】『迷路は人生の縮図』新井征太郎

【花まるコラム】『迷路は人生の縮図』新井征太郎

 AIの発展など、「これからは先の読めない時代になる」と言われて久しい世の中です。先日の台風のような自然災害も、いままでの常識が通用せず、先の読めない時代に入っていくでしょう。自分の身を守るため、自分でメシを食っていくため、あらゆることを「考えに考えて」いかねば生きていけない時代を、子どもたちは将来歩んでいきます。その考えることの土台に、花まるの学習があるのだと思います。先日も、そのような場面に出合いました。

 花まるの授業で取り組んでいる「迷路」は、考えることへの土台となり得るものの一つです。花まるの迷路には、さまざまな形があります。
・セブめいろ…迷路上に書かれた数字を決められた順に通り、ゴールする。
・白黒めいろ…「白、白、黒…」と指定された順に色が塗られている部分を通ってゴールする。
・どくぬまめいろ…迷路上に毒の沼があり、何回か入らないとゴールできない。ただ、毒の沼に入れる回数は、自分が持っている長靴の数のみ。
・立体めいろ…スタートは地面、ゴールは壁の上にある。はしごの上り下り、壁から壁への橋を渡るなどして進み、ゴールする。

 小学生のなぞぺーには、このような多様な迷路があり、幼稚園年長教材には、いわゆる普通の迷路があります。子どもたちは迷路が大好き、どんなタイプの子でも迷路を見ると「わーい、迷路だぁ!」と夢中になって取り組んでいます。迷路の魔力とも言える光景です。一見、遊んでいるだけに見える迷路ですが、非常に奥深いなあと、感心しながら見ています。

 先日、ある3年生が白黒めいろに取り組んでいました。普段は苦戦するような問題に当たると、なかなか気持ちが向かない、諦めてしまうことがあり、私も頻繁に声をかけている子です。彼が、白黒めいろに取り組むものの、なかなかゴールまでの道がわかりません。「白、白、黒、白、黒…あぁっ、違う!」「先生、できた!」(→私、指さしながら「白、白、白、おしい!」)「えぇっ!?」と繰り返しているうちに、私は「また『もうやだ!』となってしまうかな…」と思いながら見ていました。しかし、彼は諦めません。「気分転換に、ほかの問題を解いたあとにしてもいいよ」と言っても「いや、やる!」と。その姿に、私もチャンスだと思い、そのまま見守っていました。10分以上経ったでしょうか、ついにゴール!「おぉ~!やったね!」と声をかけると、彼は心底スッキリした笑顔を見せました。この、自分で考え抜いた経験、完成できた喜び。一回一回は小さなものでも、その積み重ねが、これからの時代を考えながら生きて、自分の将来をつくっていく土台になるのだなと、改めて思った瞬間でした。どんな子でも取り組みやすく、こうした経験を積めるものが迷路なのです。

 公立小学校に花まる授業を導入している、ある村の教育長が、子どもたちが時に喜々として、時に頭を抱えながら迷路に取り組む姿を見て、こう言いました。

「行き止まり、壁、落とし穴…通れると思ったら通れない。どの道を通ったらゴールにたどり着けるか、あれやこれやと考える。迷路は、人生と同じ。人生の縮図と言えますよね。これからの時代を生き抜かなければいけない子どもたちが、いまからこうした経験をたくさん積めることは、非常に有意義ですね」

 迷路は人生の縮図であるという言葉。決して大げさではないでしょう。思えば、我々大人も、日々迷路のような人生を歩んでいると言えるかもしれません。壁に当たったら、違う道を探し、無理だと思ったら光差し込む道が見えて…。その迷路のような人生を、前向きな気持ちでたくましく、自分の足で歩ける力と心を持った子に育てたいと、強く思います。

 ぜひ、お子さまのなぞぺーにある迷路をご覧ください。お子さまの考えた跡が見えるでしょう。大人がやってみてもおもしろいものですので、ぜひ挑戦して、人生の縮図を体感してみてください。

花まる学習会 新井征太郎(2021年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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