気づけば2021年度も残すところわずか1か月。先日は今年度最後の3学期HIT(ヒット / Hanamaru Intelligence Test)ならびに花まる漢字テストを教室で実施しました。今回はオンライン授業がしばらく続いたこともあり、教室での声かけがこれまでのようにできず、ご家庭での漢字練習などの取り組みに苦労することがあったかもしれません。ご協力、本当にありがとうございました。
普段の花まるの授業で取り組んでいること、また宿題としてコツコツと取り組んでいることがどのくらい身についているかの習熟度を測るこのテスト。まずはできているところを大いに褒めていただき、できなかったところは今後伸ばしていきたい点として捉えていただけたら幸いです。テストを採点していて、この子は計算力が伸びてきたな、この子は文章の読み取りがしっかりとできるようになってきたな、と学力面で子どもたちの1年間の成長ぶりを実感する時間となるのですが、同時に精神面での大きな成長を感じ取ることができました。
1年生のKくん。1学期に実施したHITでは、初めてのテストということもありかなり緊張していたのでしょう、またもしかすると当時はテストとは何かさえわかっていなかったかもしれません。終始そわそわしていて、ことあるごとに困った顔をして、「これ、なんて書いてあるのかわかりません」「この問題のやり方がわかりません」と質問の嵐。なんとか自分で答えを捻り出しても、その自分の出した答えに自信を持てないのか、まわりをきょろきょろしてしまう状況でした。そんなまだ幼さ全開のKくんでしたが、今回のテストでは本当にこの子かと見違えそうなほどの頼もしさを見せてくれました。Kくんが算数の文章題を自分の力で解き終え、テスト時間の途中でトイレに行き、自分の席に戻ろうとしたときです。トイレから出るといきなり手で自分の目を覆い、足元がおぼつかない状態で、席に帰って来ようとしていました。その様子を見たとき、私はKくんがトイレを済ましてふと我に返り、テストが難しくて自信を失ってしまって泣いているのかなと思いました。そこで、「どうして目を隠しながら歩いているの?何か困ったことある?」と聞くと、予想にもしなかった言葉が返ってきました。
「ほかの友達が書いている答えが見えたら、自分の力で解いたことにならないから、見えないように歩いているんだよ」
この言葉を聞いた瞬間に衝撃が走りました(泣いているのかと思い心配していたのに、満面の笑顔での返答にかなり面食らったこともありますが…)。テスト前に伝えている「いまのみんなの力を確認するためのテストだから、自分の力でやり切る」という言葉をひたすら実践する素直さはもちろん、あの幼さ全開だったKくんが精神的に一回りも二回りも大きく成長していることに驚きを感じずにはいられませんでした。
テストをおこなうと、どうしても子どもたちの得意・苦手分野に注目してしまいがちですが、学力面だけでなく人としての成長ぶりを間近で感じ取ることができた良い機会だったと思います。回を追うごとに成長していく子どもたち。また子どもたちの成長ぶりをお伝えできるように、これからの授業も全力でやっていきます。
花まる学習会 春木満之(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。