【花まるコラム】『学びとは…』井田七星

【花まるコラム】『学びとは…』井田七星

 私は中学1年生から6年間、ハンドボールに打ち込んでいました。私は中学生になるまで、このような競技があることを知りませんでした。私とハンドボールの出合いは、入学式の日のことです。
 校門のすぐそばで、ハンドボール部が大会に向け練習をしていました。練習中にもかかわらず、目の合った見ず知らずの私に元気よく「こんにちは!」と挨拶してくれた先輩たちの姿が印象的で、「よし!私もこのメンバーの一員になろう!」と即座に入部を決めました。そこで出会ったのが、のちに恩師として慕うこととなる顧問のE先生です。私は、この先生からハンドボールの楽しさだけでなく、人生において自分の軸となる大事なことを学びました。

 一つ目は、「自ら行動すること」。E先生は、大会当日は必ず何時間も前に会場に行き、設営担当でもないのに率先してコートの準備をしていました。会場を貸してくださっている方々に感謝し、自分たちが使うコートは自分たちで整えるという準備の大切さを、言葉ではなく、大きな背中で見せてくれました。
 私たちはそんなE先生の背中を追いかけ、「先生より早く行って準備をしよう!」「先を越されないようにしよう!」と大会のときは早起きしたものです。

 二つ目は、「仲間を大事にすること」。ハンドボールを始めたきっかけは、人それぞれ。同じ部員であっても、目標ややりたいことは違います。部活動よりも勉強を優先させたい子や、中学校生活を思う存分満喫すべく遊びを優先したい子、大会での優勝を目指している子…。
 お互いの目標が違うことから、衝突することも少なくありませんでした。そんなとき、E先生はいつも「ゆっくり話し合いなさい!自分たちの気持ちがスッキリするまで話すといい」と、「部活が何より大事だろ!」「こうするべきだろ!」と言うのではなく、部員全員の考えを尊重し、静かに見守ってくれました。
 話す機会をたくさんつくってくれたE先生のおかげで、いつしかチームは一つにまとまっていきました。どんなことも素直に言い合える仲になり、部活を通して、一生の絆が生まれました。

 三つ目は、「家族やまわりの人を大事にすること」。部活ができるのは、家族やまわりの人たちのサポートがあってこそ。そのことに気づかせてくれたもの先生でした。E先生主催の、家族で一緒に練習に参加するイベントでは、ハンドボールのおもしろさを共有でき、家庭での会話が増えました。また、地域の人たちとの交流を兼ねてごみ拾いを行うイベントなどもたくさん開催してくれ、近所の人たちと挨拶をする機会も多くなりました。

 いまでもE先生に会いに行くほど、私にとってE先生は大きな存在です。私が先生と出会って学んだように、子どもたちが私との出会いから「この先生に会えてよかった!」「勉強だけでなく多くのことを学べた!」と思えるよう、精神誠意、向き合っていきたいと思います。子どもたちの小さな成長に気づき、認め、それを言葉にしてまいります。          

花まる学習会 井田七星(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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