2022年という新しい年が始まり、早くも1か月が経とうとしています。何事も「始まり」というのは新鮮で、気が引き締まりますね。
ここ数年、私はスマートフォンでスケジュールを管理していたのですが、久しぶりに手帳を購入しました。ただ用事を管理するだけでなく、今年の目標ややりたいことを書き出したり、一日を振り返って一言だけでも日記をつけたりしようと思ったからです。
大晦日に手帳を買いに行き、早速、目標ややりたいことを書き出しました。書いていくと頭のなかが整理され、クリアになっていく感覚がありました。普段の生活では意識していなかったことでも「そういえば、これもやってみたいと思っていたな」と思い出し、自分が思っていた以上にやりたいことが次々と出てきました。
昨年末に「手帳を買おう」と思い立ったのには、あるきっかけがありました。それは、12月に開催した雪国スクールでのことです。私が今回担当したのは「はじめてスキーコース」。参加する子どもたちのなかには雪国に初めて行く子も多く、スキー初心者ばかりです。手袋のはめ方やスキーウェアの着方、板の持ち方も一つひとつ教えます。普段の靴よりもずっしりと重みのあるスキーブーツを履き、板を持って坂を登っていくだけでも子どもたちにとってはかなり大変です。子どもたちの心が折れないように「すごい雪だね~。あと少しで到着だよ!」と声を掛けながら一緒に坂を登っていきます。
そして、ようやくスキーレッスンがスタート。板を履き、ハの字で止まれるように繰り返し練習します。止まり方をマスターすると、紫色のビブスを着てスノーエスカレーターに乗ることができます。さらに高い所からリーダーと一緒に滑ることができるのです。1日目、2日目と練習を重ねるにつれて紫色ビブスの子たちが増えていきました。
そんななか、私が担当していた班の1年生Aちゃんは、なかなか紫色ビブスをもらうことができずにいました。しかし、Aちゃんは決して弱音を吐きません。板を履いて滑って、板を外して坂を登って、また板を履いて滑って…を何度も繰り返します。なかなかの運動量だと思うのですが、Aちゃんは終始笑顔。そして、いつも前向きな言葉を口にしていました。
「もう1回やってみる!」
「次はもっと上手く止まれるようになる!」
「さっきね、『笑顔がいいね!』ってリーダーにほめられちゃった!だから次は絶対できると思う!」
横では、同じ班の2~3年生のお姉さんたちが紫色ビブスを着て、高いところからシューッと気持ちよさそうに滑っています。「いいなぁ」という憧れの気持ちもあったのでしょう。彼女は決してへこたれることなく、根気よく練習を続けていました。それも楽しみながら。その姿に私は胸を打たれました。
私の目には、彼女が自分で自分を鼓舞しているように見えました。自分を信じて、その思いを言葉にすることでそれが大きなエネルギーとなり、自信に変わっていったのだと思います。そして、彼女は最後の最後にスノーエスカレーターに乗り、高いところから滑ることができました。
「言霊」と言われるように、思ったことや感じたことを口にすることで、言葉にパワーが宿るのだと思います。言葉の力を信じ、一つひとつの言葉に想いをのせて、2022年も子どもたちと向き合ってまいります。
花まる学習会 米田晴香(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。