「花まる学習会アルゴクラブ オンライン教室」の保護者会でいただいたアンケートでは、お子さまの様子や成長などもうかがうことができ、画面の向こう側を強く感じられました。このような機会をぜひとも増やしていきたいなと思っております。
アルゴのオンライン授業を受ける息子を隣で見ていて、感動したことがありました。詰めアルゴのプリントを一人で解いて解説する、という場面で「う~ん…わからないなぁ」と解いていなかったので、飽きちゃったのかな、と見ていたのですが、お友達が解説したときに「なるほど!」と受け入れていたんです。
いままでなら、「解けなくて悔しい!」とか、「自分はできなかった…。キーッ(ノ-o-)ノ┫」となってもおかしくなかったのに、お友達を認めて受け入れられるようになったんだ!と思いました。
2年生Aくんの、とても嬉しい成長エピソードでした。嬉しいと同時に、みんなこの感覚をつかめるようになってほしい!とも改めて感じました。
解けなくて悔しいといういままでの状態は「答えを出すことが大事だ」という考えを優先しすぎです。そうなると「答えが出せない=ダメ」となってしまい、楽しいはずの思考問題が苦しいものになってしまいます。
Aくんが答えを出せなくても「なるほど!」と受け入れられたのは「答えを出すこと」ではなく「問題に挑戦すること」自体が楽しくなったからでしょう。わかっちゃった!という気づきの快感を知っている子にとって、正解かどうかは二の次になってしまいます。
1年生のBちゃんは、それはそれは図形問題が苦手な子でした。ジオの問題が出るだけで顔から生気がなくなり、ピースにも一切触らない、徹底した拒絶っぷりでした。まったく手が動かない、つまり、 問題に挑戦する過程を楽しいと思えていない、 ということです。
そんなBちゃんに対して私がしたのは、「このピースはここみたいだね、ほら問題を見て、こうだと思うな」と少しでも「一緒に考えている」と感じてもらえるように話しかけながら、11枚あるピースを10枚まで並べること。さすがにここまで形ができていれば、最後の1枚を自分で置いてくれました。それを毎授業積み重ねていき、こちらが作ってあげる枚数を徐々に減らして、最後には自分で取り組めるようになりました。そこまでにかかった時間は、2年間でした。
今回保護者会でお伝えしたかった「論理的思考力の土台」のうち、一番の土台は「まず取り組んでみる」という、いわば心の壁を乗り越えられる力です。心の壁は人によっては分厚く高く、Bちゃんの場合は「やったらできるよ」と2年間伴走して乗り越えられるようになりました。
正解したかどうかはいわば「おまけ」。大切にしたいのは「解く過程で試行錯誤しながら、カチッとハマる気持ち良さ」であり、そのための「あそびとしか感じられない」授業をしていきたい、そう願っています。
その土台に乗れたら、過程の理解をさら深めていく。あそびとしか感じられない、のではなく「思考であそぶ」段階へと…。そう進んでいくのが楽しみでなりません。
花まる学習会 岡本祐樹(2022年)
*・*・*花まる教室長コラム*・*・*
それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。