【花まるコラム】『できるのが当たり前の世界ではなく』佐藤暢昭

【花まるコラム】『できるのが当たり前の世界ではなく』佐藤暢昭

 「たんぽぽ(古典の素読教材)の4月の作品、もう覚えたよ!」「(立体を描く問題で例にはないような形の立体を描いて)こんなの描いちゃった!」「このチャレンジ問題、やってもいいですか?」「(視写をして)いつもよりたくさん書けたよ!」…授業中には、子どもたちからたくさんの「見て見て!」をもらいます。

 「見て!」は、子どもたちが主体的(あるいは自発的)に行動したときに出す最高のサイン。私がもっとも大事にしたい瞬間です。そんな子どもたちの行動や報告に対して私(たち)は、できる限り言葉をかけたり、視線を送ったり、いいね!を示したり、感謝を伝えたりしています。それを受けた子どもたちは、「次もやってやろう!」と、その先の行動へとつなげていきます。

 私はこれらを「ほめる」という言葉で表しています。言葉をかけることだけではなく、子どもたちの行動に対して「肯定的な注目をする」ことがほめることだと考えています。

 これはこれでとても大切なことですが、せっかくならその先を目指そうという思いを抱きました。それが「驚く」ことです。子どもの意欲を引き出す方法に関する著書で知られる篠原信さんの言葉に、次のようなものがあります。
「子どもたちは、こちらが驚くと『ようし、もっとできることを増やして驚かせよう』と、ワクワクしながら次の課題を探します。赤ちゃんの頃から、子どもは自分の成長で親を驚かせるのが大好きです」
確かに、花まるの授業で子どもたちを見ていると、冒頭でお伝えしたようなことが学年問わずたくさんあふれています。そこで今年度から、言葉かけというよりは、「へー!」「おぉっ!」「こんなにやったの?」というふうに、意識的に変えてみました。その効果かどうかはわかりませんが、
「たんぽぽ、5月も練習したよ!」「さらにこんなのも描いちゃった!」「(チャレンジ問題を)もう1枚やってもいいですか?」「(視写)続きも書いていいですか?」…と、子どもたちは次の行動を見せてくれたのです。

 逆に、このときにもし私が最初の反応で「それはできるのが当たり前」というスタンスで子どもたちを見てしまって、淡白な反応を示していたらどうなるでしょうか。少なくとも、その次の行動につながってはいかなかったでしょう。子どもたちのわき上がる意欲もアイデアも「見てくれる、驚いてくれる人」がいてこそ湧き出てくるものだと思うのです。

 90分の授業ですらこれだけあふれてくるのですから、きっとご家庭ではとんでもない量の「見て見て!」があるでしょう。でも、案外それをキャッチできないまま進んでいることがあるかもしれません。

 たとえば、宿題ひとつとっても、「やったの?」と先回りして伝えてしまっていたり、仮にやったとしても、「これくらいやるのが(やれるのが)当たり前でしょう」と思って何も伝えなかったりとすると、「どうせやったって驚いてはくれないんだ」とやらされ感満載の心が生み出されてしまうものです。

 今年度の指導テーマとして、スタッフ一同で「驚き」にあふれた教室、子どもたちの意欲にあふれた教室にしよう、と決意しました。みなさんも一緒に子どもたちのひとつひとつの行動に対して「驚き」のあるかかわりができるように、たくさんのことをお伝えしていきます。

花まる学習会 佐藤暢昭(2022年)


*・*・*花まる教室長コラム*・*・*

それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだよりとともに、会員の皆様にお渡ししています。

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