花まる学習会・スクールFC卒業生のその後に迫ります。
第17弾は、大変貌を遂げた伝説の卒業生にインタビュー!
ようこそ先輩! 高野泰樹 さん
【花まる学習会】南浦和教室(~小学4年生)
*担当教室長:Rin(井岡由実)
【進路】聖学院中学校・高等学校→国際基督教大学(ICU)
【現在】K-BALLET COMPANY バレエプロデューサー
高濱 泰樹といえば、サマースクールだよ。外国籍の同級生に対していじめのようなことが起こって、泰樹が義憤に駆られたんだよな。
高野 僕はカトリック系の保育園に通っていたので、幼いころからいろいろな国籍の子と言葉を介さずに楽しめる方法を模索して遊ぶの当たり前でした。だから仲の良い友達が人種差別をされたように感じてすごく腹が立って、エキサイトしたんですよね。
高濱 泰樹のお父さんが本当に器の大きな方で「高濱先生からちゃんと子どもたちに話してやってください」と言ってくれて、高野家の庭にテントを張って当事者と泰樹とでいろいろ話したんだよな。みんな悪いやつじゃないんだけれど、違う文化に対して敏感に反応したという。
高野 小学生時代にはよくあることですよね。
■幼い頃に見ていた世界
高濱 泰樹のお母さんは当時すごく悩んでいたんだよ。お兄ちゃんが運動もできるし勉強もちょろっとすれば私立に通るタイプだったから、体も小さい泰樹が比較されてかわいそうというか、この子にどう自信をもたせたらいいのかって。
高野 周りが思うほど僕は自信がないわけではなかったんですよね。大人たちが憐れんでいるな、ということは感じていました。花まるでも先生方がものすごく丁寧に対応してくださるので、同情されているのかなと思うこともあって。僕は好きで一人でいたし、クラスに溶け込めていないわけではないと思っていたんですけれど。
高濱 こちらはものすごく心配していたんだけれど、そうだったのか。
高野 両手と両足を使って算数をやっていましたからね(笑)
高濱 そうなんだよ。両手両足で数えていたら、手を差し伸べないといけないと思うもんね。でも本人はまったく困らず、世界を淡々と眺めていたのか。
高野 問題児だったんですけどね。他人の車に自分の名前を書くイタズラをしたり…。
高濱 そりゃぁ大人たちはどうしたもんかと悩むよな。
■人生のターニングポイント
高濱 幼い頃は楽しく問題を起こしていたとして(笑)変わったなと感じるようになったのはいつ?
高野 ターニングポイントは…中学2年生のときのアメリカへのホームステイです。鉄道を乗り継いでダウンタウンに行ったり、食事を買いに行ったりして、どこに行っても生きていける自信がつきました。
高濱 おもしろいなぁ。
高野 そこで自分がマイノリティになる経験もして、自分の国のルーツに興味をもつようになったんです。父の本棚にあった松岡正剛さんの『17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義』(春秋社)を読んで感銘を受け、それからは彼の本をむさぼるように読みました。
高濱 中学生で?すごいな。
高野 もともとルールに従うのがいやで学校は苦手だったんですけれど、本を読んで知りたいことを吸収するのはすごくフィットしましたね。
■家族とのこと
高濱 泰樹は、家族のなかでどんな存在だったの?
高野 兄が思春期に入ってもめごとが起こると、ピエロになっていましたね。子どもながらにバランスをとろうというか、楽しませようとしていました。
高濱 お母さん、お兄ちゃんについてもかなり悩んでいたからなぁ。あの生意気な…って(笑)あの頃、お父さんと朝マラソンをしていなかった?
高野 そういえば、していたかもしれません。
高濱 お母さんが「どうやって泰樹に自信をもたせたらいいか…」って心配していたときに、俺が講演会で“自信がない子がお父さんと毎朝走ったことで自信をつけていった事例”を話したのを聞いて「これ、うちやります!」って実践してくださったんだよ。泰樹は頑張って、小さな大会で2位か3位にならなかったっけ?
高野 思い出しました!
高濱 お母さんが涙ながらに喜んでいたのを覚えているよ。お父さんはどんな存在だった?
高野 仕事はものすごく忙しかったと思うのですが、休みの日にはよくキャッチボールをしてくれましたね。
高濱 お父さんもお母さんも、愛情深く育ててくれたんだな。
■バレエプロデューサーへの道
高濱 いまは…?
高野 バレエのプロデューサーをしています。企画・構成・台本としてかかわらせていただき、「プラスチック」をテーマに『ペットボトル迷宮』『ビニール傘小町』という作品をつくりました。
高濱 脚本も書いたの?すごいな。どうして書かせてもらえるの?
高野 本当にそうですよね(笑)一つは、運がよかったんだと思います。あとは、自分が選んだ道を絶対正しいものにしたいという気持ちが強いです。
高濱 トップ層はみんな「運」って言うんだよな。正解を探すのではなくて、選んだ道を正解にしていくとういことか。どういう経緯でバレエの道へ?
高野 大学時代、香港への留学中にアルバイトをさせていただいた会社で出会いがあって、日本に戻って支援型のベンチャーキャピタルの立ち上げにかかわらせていただくことになりました。
高濱 バレエとはまったく関係のない分野で働き始めたんだ。
高野 経験のない新卒の僕を引き入れてくださり3人でのスタートだったのですが、法務や財務、投資など、さまざまな経験をさせていただきました。「いつかバレエを作りたい」という僕の目標も聞いてくださって、期間限定で3年間ほど修行をさせていただきました。
高濱 愛のある方だなぁ。
高野 バレエの道に進むために留学をしようと思ったのですがコロナ禍で実現できず、熊川哲也さんに企画書を送りました。僕のバックグラウンドにも興味をもってくださり、財務面でのお手伝いをさせていただきながら企画についての相談を続けて「K-BALLET Opto」という新しい企画のチーフを任せていただくことになりました。
高濱 すごいな。「Opto」はどういう狙いで立ち上げたの?
高野 日本の伝統的なバレエはいい意味でも悪い意味でも、200年前から変わっていないんですよね。これだけ世の中や時代の流れが変わってきているいま、伝統芸能はこれまでの顧客を大切にするだけでなく新しい顧客層を開拓する必要があると思っています。そこで、オリジナル作品や他ジャンルとのコラボレーションなど、ダンス界に新たな光(=Opto)を生み出して“国産”の作品を海外に輸出していく、という挑戦的な狙いです。熊川さんなら、アングラではなく価値のあるものとして出していけると思うんです。環境問題など、時代性を意識した作品をたくさん作っていきたいです。
高濱 かっこいい。あの泰樹がこんなことを語る日が来るとは…!いやぁ、久しぶりに会ったら大活躍しているから「あの泰樹が!?」って本当に驚いたんだよ。実は泰樹のお父さんは俺の1冊目の本を出してくださった方で、お父さんの後ろ盾なんじゃないかって思うくらい(笑)でも泰樹が道を切り拓いていったんだな。10年後には大物文化人になっているかもしれないね。本当に楽しみだよ。応援しています!
高野 ありがとうございます!
\高野さんが企画・構成・台本を手掛けた作品はこちら!/
Orchardシリーズ PwC Japan グループ Presents
K-BALLET Opto「プラスチック」
2023年1月8日(日)12:30/16:30・1月9日(月・祝)12:30
▼公演概要
https://www.k-ballet.co.jp/contents/23_opto_julian
▼プラスチック特設サイト
https://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/23_opto_plastic/
▼熊川哲也氏率いるKバレエ カンパニー
https://www.k-ballet.co.jp/