先日、新都心の書店で制服姿の卒業生、Mさんにばったり会いました。彼女は都内の第一志望校に合格したのですが、制服姿を見たのは初めてでした。最初に彼女を担当したのは4年生の頃。中学2年生になりすっかり成長したMさんを見て、何ともいえない感慨に浸りました。今回の主人公はこのMさんです。
Mさんは、自他ともに認める負けず嫌いでした。普段は感情表現が多いわけではないのですが、彼女の負けず嫌いが発動するタイミングがありました。それは、小4総合コースの社会科で実施している「都道府県カルタ」「歴史人物カルタ」大会(各教科でテーマを設定し本気で競い合うコンテストの一つ)のときです。カルタとなると目が変わります。ほかの子に勝ちたいという思いから、教室でも自宅でも、カルタを完璧に覚えようとしていました。手にカルタの読み札を持ってFCにやってくることもしばしば。何気なく私が「すごいね、いつもカルタを覚えているね!」と声をかけると、「だって、楽しいもーん」と、何食わぬ顔。楽しいことなら苦にならない、そんな姿がほほえましかったです。
カルタをしていると、ときにどちらが早く取ったかでケンカになることもあります。M さんも例外ではなく、同じように負けず嫌いのTくんとよくケンカになっていました。ケンカをするのは、お互い真剣に取り組んでいる証拠ともいえます。T くんはMさんのまさに好敵手でした。ある日、MさんとTくんがいつものように接戦を繰り広げていました。結果、この日はTくんが1枚差で勝利。Mさんはよほど悔しかったのか、終わった直後に泣き始めました。私は自学時間中に、Mさんに「悔しさは成長につながるよ。来週勝てるように頑張ってみよう!」と声をかけました。M さんは泣きながらうなずきました。
その翌週。Mさんは校舎に来たときからすでにカルタの読み札を手に持っていました。そして、私を見るや否や、「今日はTに勝つからね!」と宣言。「お、今日もやる気だね!」と答えると、「だって、負けたくないもん!」とニヤリと笑いました。この日、M さんはT くんに勝ちました。その後、彼女は受験コースに進み、持ち前の負けず嫌いを遺憾なく発揮して見事に志望校合格を果たしました。
書店の前でMさんの負けず嫌いエピソードを話すと、Mさんは「ま、私の負けず嫌いを強くしたのは、FCの授業ですけどね!」と笑顔で返してきました。そう答える彼女の顔は、自信にあふれていました。
楽しい思いは前へと進む推進力に、悔しい思いは自分を奮い立たせる起爆剤になります。授業のなかではうまくいかないこともたくさんあります。うまくいかないことに向き合うことで、子どもたちは打たれ強くなっていきます。子どもたちが知識の面だけでなく、精神的にも大きく成長できる。FCの4年生の授業には、成長の機会が詰まっています。
スクールFC 加藤崇浩(2021年)
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それぞれの教室長が、子どもたちとの日々のかかわりのなかでの気づきや思いをまとめたものです。毎月末に発行している花まるだより・FCだよりとともに、会員のみなさまにお渡ししています。
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