2022年8月、年長・小学生を対象に書道教室「書道らぶ」を3回開催しました。
「書道らぶ」開催のきっかけ
ある日、花まる漢字テストを終えた5年生の男の子から、こんな質問を受けました。
「どうして書き順ってあるの?結果的に文字が書ければ、それでいいじゃん!」
そこで、「なぜ書き順があるのか」ということについて、改めて考えてみることにしました。すると、私はそもそも子ども時代に、彼のように「なぜ書き順があるのか」と疑問に思ったことがなかったことに気がつきました。その理由は、「習字」を習っていたからです。小学2年生から、お手本に書いてある書き順の番号を「守らなくてはいけないもの」ではなく「字を美しく書くためにあたりまえに守るもの」として認識していたのです。
習字を通じて、書き順の意図を知り、字を美しく書ける喜びを感じてもらいたい。その思いで、書道教室を開催することにしました。
年長クラス
ほとんどの子が、習字初体験の年長クラス。道具の名前や使い方を学び、書き順の確認をしてから、いよいよスタートです。
今回は「なつ」という文字を書きました。
最初は多くの子が文字を右下がりに書いていましたが、一緒にお手本を見ながら線の向きや流れを観察すると、右上がりに書いた方がいいことに気づいた様子。コツをつかむと、
「ここをね、こうして右にしてみたよ!」
「ここの(「な」の結び目)ところを三角の形にできたよ!」
と、「できた」ところを具体的に言葉にしはじめました。
練習を続けていくと、
「なんか、字を書くのって楽しいね!」
「本当に楽しい~!この筆で書くの楽しい~!ずっと書いてたい!」
という声が聞こえてきました。
いままで持ったことのない「毛筆」で、そして「墨」で字を書くことは、子どもたちにとって、それだけでたまらなく楽しいことのようです。
また、経験したことのない方法で字を見るからこそ、見えてくる世界があります。文字には「中心」があり、そこからのバランスが重要だということや、横線を引くときには右上がりになることなど、文字特有の世界です。
習字では「線」にばかり注目してしまいがちですが、実は文字が書かれていない「空間」を見ることも、同じくらい重要です。今回は、「つ」の中の空間の広さや、「な」の結び目の空間を意識して書くことを伝えました。
子どもたちはみな、自分の上達した字に「これ、上手く書けた~!」と、大満足の様子でした。
小学生クラス
小学生クラスでは、「なつ」「花」「夏」「希」「笑」「愛」のなかから好きな字を選んで書きました。
参加した1・2年生のほとんどは、書道初体験です。筆の持ち方や、硯の使い方のレクチャーを行うと、「早く書きたい!楽しみ~!」という声が聞こえてきます。
習字では、どこから線が始まり、どの向きに線が向かっているのか、太さはどうなっているかなど、意識すべきポイントがたくさんあります。そこで、子どもたちにわかりやすく伝えるために「中心線」を指でなぞって示します。すると、
「あ!真ん中(中心線)よりちょっと下から始まってた!それで、ここまできて真ん中より上に書くんだ!僕の字は真ん中より上すぎたんだね。次はここから書けばいいのか」
と、改善点を自ら見つけていきます。
ここで大事なのは、改善点を「自分で見つける」ことです。自分で気づくからこそ「もう一枚書きたい!」「さらにいい字を書きたい!」と心の底から思えるのです。
最後に、最初に書いた自分の字と、良く書けたと思う字を見比べました。
「うお~めっちゃ上手になってる!」
「早くお母さんに見せたい!」
と、みんな大喜びでした。
~保護者のみなさまから寄せられた声~
先日はありがとうございました。
娘はとても満足した様子で、その後に文字を書いている姿を見ていたら、お手本の文字の見方が変わっているように感じました。
筆を使うのは初めてでしたが、とても楽しかったー!またやりたい!と本当に楽しそうに報告をしてくれました。平仮名やカタカナを覚えているこのタイミングで、文字を丁寧に書くこと、書き順や文字の中心をとらえることなど、とても良い機会になりました!
はじめてのお習字体験だったので、本人にとっても充実した時間だったようで「楽しかった!習ってみたい!」と嬉しそうに話しておりました。
持ち帰った作品を家族に見せ、リビングの一番目立つところにいまも大事に飾っています。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました!
(2022/8/3・5・12実施)
花まる学習会 生駒春佳(まっしゅ)
主催:花まる学習会 東京西ブロック